「四代目の遺伝子を・・・抽出せよ!」 「な、何を仰るのですリオウ様!?」 「木の葉の権威は今落ちつつある・・・九尾の力を使うのだ!」 「!!! ・・・“神”を・・・利用するおつもりですか・・・」 「フン、あれは神などではないわ!おぞましき妖魔ぞ!」 「・・・・・・・・・そんなことが・・・可能なのですか・・・」 「理論上は、な。現在最も優れた忍たる四代目の遺伝子を抽出し、  最高の忍を創りあげる・・・“ソレ”に九尾を封印すればよい」 「・・・・・・・・・・・・・・・神への・・・いえ、人への冒涜ですぞ・・・!」 「フ・・・キョウよ、主は若い。理解はできんだろうて・・・・・・とにかく、やれ」 「ッ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・御意」

ぐるぅぅぅぉぉぉおおおおおおおッッ――――――!!
『うわぁあああああっ!!!』 「くそっ!やはり・・・無理だったか・・・・・・!!」 「ど、どうされるおつもりですか!やはり“神”を利用するなど・・・」 「五月蝿い!!とにかく、アレを御子に封印―――」 「大変ですリオウ様!すぐそこまで九尾が―――被害は甚大ですぞ!!」 「!!」 「こ・・・この里は・・・終わりだっ!!」 「黙れ!なんとか・・・なんとかしてっ・・・・・・!!」
「全くとんでもないことをしてくれたね、リオウ?」
!? ・・・よ・・・四代目・・・・・・!?何故ここに!砂へ―――」 「僕がこの凄絶なチャクラに気付かないはずがないだろう?  それに・・・一度も通じたことが無い(・・・・・・・・・・・)妻に、何故子供ができたと言うんだい?」 「!!! な・・・そ、それはっ・・・・・・!」 「お前如きの計画に―――僕が気付かないとでも思ったのか・・・。  ご意見番がこの程度の頭脳しか持っていないとはね・・・・・・非常に残念だ」 「よ、四代目―――?」 「だが・・・この子が造られた存在でも・・・僕の大切な息子であることに変わりはない。  そして―――この里の者の罪は火影たる僕の罪でもある。しかも解決策は一つだ」 「・・・・・・・・・・・・・・・」
「―――ごめんね、ナル君・・・」 君は今から、英雄になるんだ。
You're a hero. 「―――“蓮”・・・任務だ。古矢リュウを殺れ」 「・・・・・・またかよ・・・そろそろ同胞殺しは止めたほうがいいんじゃねぇの?」 火影邸に存在する、秘密の小部屋。 この部屋の存在は現火影―――三代目すら知らない。 小さな蝋燭が唯一の光源であるこの部屋で、しわがれた老人と少年の声が響いた。 「五月蝿い・・・お前はただ言われた任務をこなせばよいのだ!!」 「はいはい、わかりましたよリオウ(・・・)様?」 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」 ゴッ―――!! リオウと呼ばれた老人が、蓮と呼ばれた少年の鳩尾を蹴り飛ばす。 せきこんだ蓮は立ち上がろうとするが、踵で後頭部を押さえつけられ未遂に終わる。 蓮専用の特製の暗部服のおかげで大したダメージはない。 だが蓮の鮮やかな金髪が砂塗れになった。 何年も掃除をしていないのだろうか、小部屋の中はかなり汚れている。 「ッ・・・・・・」 「ワシに向ってよくもそんな口が利けたものだな、小僧。  お前は一体誰のお陰で生きていられると思っておるのだ・・・・・・?」 ジャリ・・・・・・ リオウが足に力をいれ、蓮の顔を床に押し付ける。 しかし少年の顔には苦痛の色も、屈辱の表情すらない。 まるでこんなことは日常だとでもいうようだ。 蓮は一瞬瞑目すると、感情のない声でリオウに謝罪の言葉の述べる。 「―――申し訳ございません・・・過ぎた口を。  私めが生きていられるのは、全てリオウ様のご尽力によるものでございます」 「フン!心にも無いことを・・・・・・まぁいい、さっさと殺ってこい!!」 「・・・・・・・・・御意」 スタスタと、まさにそんな擬態語が似合う足取りで、リオウは部屋から出て行った。 残された蓮は、どこまでも無表情に体中についた砂を払う。 「何で・・・クソ親父が死んで、あんな奴が生きてるんだろうな―――・・・」 しみじみと、そう呟いた蓮の顔には自嘲の笑みが浮かんでいた。 +  +  +  + ―――“彼”に惹かれ始めたのは、何時からだったか。 気付けば常にドベの自分をフォローしてくれていた。 気付けば常にドベの自分を励ましてくれていた。 そして決定的だったのは。
『なぁ・・・俺の前では、そんなめんどくせぇ演技しなくてもいいぜ?』
言葉が   出てこなかった。 初めて気付いてくれた彼。 初めて認めてくれた彼。 好きになるには、充分すぎたと思う。 そして衝撃的かつ嬉しい事実。 彼もまた、自分と同じく暗部に所属していたのだ。 それがあの“澪”だと聞いたときには、さすがに驚いたが。 “澪”は蓮の次に強いと称される、木の葉を代表する忍なのだ。 同じ世界に属し、同じ世界で生きること。 そんな相手をずっと探していたのだから。 自分を理解し、また自分も理解できる相手を探していたのだから。 ―――だから    守りたかった。

「リオウ様―――実は」 「・・・・・・なんだと?あの二人(・・・・)が・・・?」 「はい。蓮と澪が、恋仲にあるとの噂が」 「・・・・・・・・・・・・ふむ・・・なるほど、な」 「―――どうされますか?」 「・・・・・・・・・・・・・・・」 「・・・・・・・・・・・・・・・」 「―――ククッ・・・澪か・・・・・・あやつは何も背負ってはおらん(・・・・・・・・・・)。  蓮に幸福などが許されるはずなかろうて・・・のぉ、キョウよ」 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ええ」

「蓮・・・・・・任務だ。―――澪を殺せ」 「ッ!!?」 毎度同じく秘密の小部屋で。 またしても任務があるとのことで、蓮は・・・ナルトはリオウと会っていた。 そして・・・こう言われた。 「・・・はッ・・・何、言って・・・・・・冗談」 「冗談ではない。お前と澪が近しい関係(・・・・・)だと聞いてのぉ。  ―――蓮よ、お前がワシら上層部の極秘任務を請け負う以上、  “うずまきナルト”の裏を知るものを生かしておくわけにはいかん。  それが例え―――・・・木の葉の主戦力である澪であったとしても、な」 「・・・・・・ふざけ・・・んなよ・・・」 信じられない。 目の前の老人はどこか頭がおかしいのではないか。 半ば本気でナルトは考える。 (・・・殺せば・・・・・・いいんじゃないのか?) 殺せば、上層部は確実にナルトがやったと決め付けるだろう。 だがそうなればまた殺せばいい話で―――・・・ (いや・・・そうなれば、シカマルがヤバい・・・・・・) それだけは避けなければならない。 シカマルが、危険にされされることだけは。 ならばどうするのか。 一体どうすればよいのか。 ―――シカマルと共に、里を抜ける? (ダメだ・・・アイツは俺と違って、大事な奴が里にいる・・・) だから抜けられない。 だから里を守ってきた。 自分はどうすればいい? (・・・俺・・・は・・・・・・) 「―――お、俺は間違ってもアイツに任務のことを漏らしたりなんかしない!  何でもする・・・だから・・・アイツを殺すことだけは・・・それだけはっ・・・・・・!!」 それだけはしたくない。 無理心中をはかるほどに傲慢な愛情は持てない。 必死で懇願するナルトに、リオウはただ残酷に笑った。 ―――まるで、この台詞を言わせることこそが目的であったかのように。 「ふむ・・・・・・まぁ・・・お前の態度次第、じゃの。  実験に付き合え、ナルト・・・九尾について研究したいことは山積みだ」 「・・・つまり・・・・・・俺に、モルモットになれってか・・・?」 「そういうことじゃ。お前は頭が良い」 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」 (・・・こンの・・・マッドサイエンティストがっ・・・・・・!!) ギリギリと唇を噛み締める。 深紅の血が滲んで、滴り落ちた。 リオウは里のご意見番だが、科学者としても有名だった。 ―――裏では、人間としての道を外した外道のマッドサイエンティストとして。 彼の実験に付き合うということは、まともな人間を止めるということだ。 恐らくは様々な投薬を受けた後にゴミのように捨てられることだろう。 いや、里人の中に放りこまれる方が可能性は高い。 (・・・・・・でも・・・俺はどうせまともな人間じゃない。これでシカマルが守れるなら・・・) 守れるなら。 シカマルが聞けば激怒するだろうが、守れるなら。 守れるなら。 「―――いいだろう・・・・・・・・・好きにしろ」 凄絶な笑みを浮かべる、老人への殺意で気が狂いそうだった。


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