「鳴人―――・・・ウチの店に、来ない!?」
「―――――――――は?」


全く・・・余計な騒動を持ち込む奴は好きになれない。

ざわっ―――・・・

大きな声だったため、客にも聞こえてしまった。
ざわつく空気。何の話だと皆寄ってくる。

鳴人ことナルトは無表情で目の前の男―――ホスト界の核爆弾を見つめた。
しばらく考えた後、この後始末はやはりこの男につけてもらうことにする。


「―――面白いこと言うね、アンタ」
「真剣だよ」

「なお悪いっつーの・・・」とぼやきつつ、ナルトは不意に声を張り上げる。


「さて皆さんご注目〜!!」

「・・・・・・!?」


身構えるカカシと獅之美の面々。
それを面白そうに眺めつつ、ナルトはなおも声を張り上げる。


「この人あの獅之美のNo.1の虎芥子だぜ?
 なんとこの俺を引き抜きたいんだってさ!!」


必殺・この場を味方に適当にあしらってやれ作戦決行。
緊張していたシカマル達は「ナルトなら上手くやるだろ」と力を抜き、
客達は案の定ナルトの味方について虎芥子をせめる。


「それホント!?ちょっとヤメてよ!!」 「いくら虎芥子って言っても鳴人は渡さないわ!」 「出ていきなさいよー!!」 etc...etc...
エキストラの皆様、ご協力感謝いたしマス。 心の中でそう呟きつつ、ナルトはあることを思いついた。 あしらうよりもよほど面白いだろう。 「でもまぁ―――俺に勝てたら考えてやるぜ?喧嘩でな」 「!?・・・本気?俺強いよ?」 「モチv」 にっこりと。 笑ってやれば、慌ててシカマルが止めに来る。 「おい何考えてんだよ鳴人!!」 「だーいじょうぶだって。俺の強さは知ってんだろ??」 「・・・・・・ったく・・・警察沙汰は勘弁しろよ!」 ぽきぽきぽき。 指をならして準備完了。 「さぁて―――楽しませてよ、虎芥子さん?」 欲しければ莫迦になれ 「樹羽・・・いやキバ、明日の休み俺ら重なってたよな?どこ行きたい?」 「―――――――――は?」 翌日、店を閉め控え室で着替えていたら―――こう言われた。 室内にはナルトと自分しかおらず、どこからどう聞いてもデートのお誘いだ。 「ンだよ・・・忘れたのか?昨日約束したろ」 「え・・・あ、ああ」 思い出した。 そういえば昨日、虎芥子の相手をするかわりにデートしよう、と約束したのだ。 だがアレはノリのようなもので、ナルトの頼みなら見返り無しでもやる。 しかも結局自分は何の役にも立たなかったのだ。 「・・・・・・・・・・・・」 「どーした、おフランス料理フルコース、だろ?」 「あー・・・その・・・・・・」 だが断りたくない。 断ればナルトの気分を害するだろうし、何より行きたい。マジで。 「あーそうか、お前中華好きだもんなー・・・店知らねぇのか?  でもフレンチも結構イイもんだぜ?店なら俺が選ぶから、な?」 「・・・・・・・・・・・・・・・・――――――オネガイシマス」
「店なら俺が選ぶから、な?」
最後の「な?」と同時の笑顔がポイントだ。 これで落ちない奴は、脳みその代わりに焼きプリンが入っているに違いない。 男として人間として犬好きとして(?)これは行くしかないだろう。 (まさかホントにデートしてくれるとは・・・) 思ってもみなかった。 その場のノリで交わしたような約束を、覚えていてくれるなんて。 こういう仲間には真面目なところもナルトの有り余る魅力の一つだ。 現在、キバは幸せを噛み締めて歯が折れそうになりながら、ナルトと並んで歩いていた。 ナルトの服装はこげ茶色のタイトなパンツにインナーはカーキ色のシャツ、 シンプルだが質の良い黒のジャケット・・・・・・さすがにハイセンスだ。 指輪やピアスなどのアクセサリー類にもさりげない心配りがうかがえる。 おまけに薔薇色の唇に加えた煙草―――彼ほど煙草が似合う人間はいない。 故に先程から目立ちまくりで、キバとしてはどうにもこういう視線は苦手だ。 たとえ対象が自分ではなく隣のパーフェクト人間であったとしても。 「・・・キバ。お前もなんか喋れって・・・・・・」 「え!?・・・あ、あぁ悪ぃ・・・・・・」 失態。 先程から見惚れるばかりで何も話していなかった。 ガラにもなく緊張もしている。 「―――そ、それにしてもあの虎芥子って奴・・・変な奴だったよな!」 「ああ、アイツね。結構喧嘩は強かったな・・・久々に楽しめた」 くつくつと、喉を鳴らすナルト。 昨日はイロイロと大変だったのだ。 急に獅之美の面々が押しかけてきて、ナルトを引き抜こうとし、 ナルトが喧嘩を吹っかけて虎芥子を打ち負かしてしまったのだから。 本来ホストクラブで暴力はご法度なのだが、(当然だ) ナルトの鮮やかな戦い方と美貌があれば喧嘩は余興・・・否、芸術になってしまう。 「つーか喉渇いたな・・・キバ、コーヒー買ってきて」 「お、おう!」 ・・・パシリだ。でも構わないのだ。 キバは急いでコーヒーを買ってくると、(忠犬キバ?)ナルトに差し出す。 そして自分も飲み始めるのだが―――・・・ 「あっれー?開かねぇ・・・」 「ん?じゃぁちょっと貸してみろよ」 持っててくれと、飲みかけの缶をナルトに渡す。 どうやらメーカーのミスらしく、随分と開け難くなっているようだ。 「なんだよコレ・・・・・・って何やってんだお前!!??」 ビビッた。というか信じられなかった。 ―――ナルトが、キバの呑みかけの缶に口付けている。(いや、飲んでるだけ) 「ん〜?なんだよ別にいいだろ?男同士なんだし」 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」 いやむしろ男同士だからこそ問題なんですナルトさん。 ていうか普通に間接チュ―なんですナルトさん。 気付いて下さいこの赤い顔にナルトさん。 思わず倒置法を使ってしまうくらいに混乱するキバ。 言いたいことは山ほどあるが、違う意味で喉が渇いて言葉にならない。 つーかいっそのこと―――・・・・・・ (缶コーヒーになりてぇ・・・!!!) 独り悶えるキバであった。 ―――二人とも気付かなかった、怪しい影。 「・・・・・・美味いな」 「だろ?」 ようやく先程のショック(?)から回復したキバ。 二人は今ナルトお勧めのレストランに来ていた。 しかも通されたのはVIPルームで、ナルトの顔の広さは流石だ。 キバとしてはもう少し庶民的なところのほうが落ち着くのだが・・・ ・・・そんなことを言ったら笑われるので言葉にはしない。 「―――と、悪ぃ俺ちょっとショ・・・トイレ」 「そうそうホストたるもの上品に、な?」 「うっせーよっ!」 実際は別にトイレに行きたいというわけではなかったが。 ナルトの食べるところを見ていたら、いろいろと・・・・・・(自主規制) 精神を落ち着けるため、念入りに顔を洗う。 思えば、この時に席を外していなければ良かったのだろう。 そうすればこんな状況をみることは無かっただろうに。 「オイオイ・・・まだオードブルだぜぇ?」 VIPルームに戻ると、目に付いたのはテーブルに置かれたくしゃくしゃのハンカチ。 普段のナルトなら絶対にこんな真似はしないし、(きちんと折りたたむ男だ) テーブルの上というのはまず忘れるようなところではない。 ―――ナルトが、居ない。 一瞬帰ってしまったのかとも思ったが―――コレは―――・・・・・・ 「ッ・・・!!」 慌てて携帯を取り出し、店へ連絡する。 「シノかっ!?オレだ!!!」 【どうしたキバ・・・そんなに慌てて】 「どうしたもこうしたもねぇよ!!―――ナルトが攫われた!!」 +  +  +  + 「いやぁ―――参ったねこりゃ・・・」 と、危機感など全く無い声で呟く影が一つ。 金髪碧眼、この辺でこのような色彩を持つのはただ一人。 ―――うずまきナルトだ。 カチャ・・・ 金属のぶつかる音。―――手錠だ。 今現在、ナルトは手錠で拘束されていた。 重い椅子に座らされ、背もたれに両腕を繋がれている。 一体ここは何処なのだろうか。 地下室らしく、辺りには大きな荷物が置かれているようだ。 ―――と、階段を歩く足音一つ。 「ん〜〜イイ眺め☆」 銀髪に胡散臭い笑み、怪しさ大爆発の眼帯。 当然のごとく現れたのはホスト界の核爆弾・・・虎芥子ことはたけカカシ。 頬が緩み、目じりが垂れ下がっているのが醜悪この上ない。 もし拘束されていなかったら踏み潰して店の足拭きマットにしてやるのだが、 いかんせんこの状況では無理だろう。非常に残念だ。 それにしても、お情けで顔には作らなかった痣が痛々しい。いい気味だ。 はだけた胸元に見えるのは痣だけではないのだろうが。 「やっぱアンタかよ・・・・・・」 薬で眠らされていた為、今日姿を見たのはコレが初めてだ。 はっきり言ってこんな再会の仕方はご勘弁願いたいが。 カカシは再びにまぁ・・・☆と気味悪く笑うと、ナルトの髪に手をのばす。 「ホント綺麗な髪だよねぇ・・・v 染めてるの?」 「うわっバカ触んな変態がうつるだろ!?」 「いっそうつしちゃおっかな〜vv」 ・・・そろそろ本格的に殺したくなってきた。 手つきがヤバイ。声が超ヤバイ。表情が激ヤバイ。 「つーかコレ立派な犯罪だぜ?」 「平気平気〜オレ警察のおエラいさんと仲良いし♪」 「うぁー腐ってるねー」 最近の警察には呆れたものだ。 心の中で(トップを味方にしてやる・・・)と決心する。 ―――と、不意に真面目な顔になるカカシ。 「・・・・・・熟しすぎた実も美味いモンだよ?」 「―――ほぉ?」 嘲るように片眉を上げてやる。 軽い挑発。ノッてくるなら相応の覚悟はしてもらおう。 「まぁ・・・モノは試し・・・・・・vv」 カカシの手が顎と頬にかかる。 ナルトは抵抗もせず、カカシを冷ややかに見据える。 お互いの唇が数センチにまで近づいて――――・・・・・・ 「「「「ゴルゥァア!テメェナニしてやがる!!」」」」 どんがらがっしゃんぼきばきがらがらぽきんぱきんぐえっ。 「とーとーここまで成り下がったが・・・!!!」 「ゴホッ・・・大丈夫ですか鳴人君!?」 「やはり昨日殺しておくべきだったな・・・・・・」 「それより警察呼んだほうが・・・」 意外や意外。 てっきりキバ達が助けに来てくれたのかと思いきや、 救い出してくれたのは他の獅之美の面々だった。 どうやらカカシと違ってきちんと常識というものを持ち合わせているらしい。 (しかもアホな話でここは獅之美の店の地下室だったようだ) 「っったー!! ナニすんのさお前ら!!?」 「それはこっちのセリフだっつーの!!テメェこれ犯罪だぞ!?」 「それはさっき鳴人に言われたよ!!!」 「るせぇ!!」 ばきっぼこっぼふっぱきん。 呆然と見守っているナルトの前で、「カカシを抹殺する会」が発足した。 と、楊枝を加えた男・・・ゲンマが抜けてきて手錠の鍵を外してくれる。 「―――どうも」 「礼なんかいい・・・ほんっとーに悪かった!!」 「いや・・・土下座なんかやめて下さいよ。割と面白かったし」 何だか微妙に憐れになってきた。この一番まともそうな男が。 だがしかし、おとしまえはつけさせてもらう。 「・・・・・・・・・一発ヤらせてもらいますよ・・・?」 「ああ!一発と言わず思う存分イッてくれ!」 ゆらり。 まさにこんな効果音がつきそうなほどの殺気で。 「喰らっとけ・・・アルゼンチンバックブリーカードロップストマックブロック式だ」 まるでモーゼの十戒のごとく、アスマ達が道を開けたのは言うまでもない。 傷ついた手首を抑えつつナルトが店へ行ってみると、 ボコボコになって泡を噴いたキバに助けを求められた―――とかなんとか。


戻る


------------------------------------------------------------
あえて「ヤらせてもらう」とか「イッてくれ」とか
怪しいカタカナ変換するのはただの趣味。(爆死)
------------------------------------------------------------