「ぁ・・・あ、くっ・・・!!ぅあっ・・・!」
少し照明が落とされた、狐乃覇の店内に響く悩ましげな声一つ。
その発生源はテーブルの上に座った金色の影。
影の前には床に跪く漆黒の影も有り。
「っ・・・香介っ・・・! そ、ソコもっと突いてっ!!」
「・・・こ、ここ・・・か・・・・・・?」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
一つ確認しておくが、このサイトは健全サイトである。
「あ、ああっ!!イイ・・・!」
「・・・ナル・・・ト・・・・・・っ!」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
もう一度確認しておくが、このサイトに年齢制限のかかるようなモノは無い。
「ぁ、あ、あ―――・・・・・・っ」
「ナルト・・・・・・頼むから」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
一応もう一回だけ・・・・・・いや、まぁいい。
そろそろ適切なツッコミが入りそうだ。
耳まで真っ赤になった香介ことうちはサスケが叫ぶ。
「頼むから足ツボマッサージ如きでンな声出すな!!(泣)」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・足ツボマッサージ。
―――所詮、この程度のオチだ。
要するにナルトとサスケが云々かんぬんしていたワケではなく、(管理人が許さん)
ナルトの下僕第一号が疲れた彼を癒していただけなのだ。足ツボマッサージで。
「ンだよ、だって俺感じやすいんだもんvv ・・・って香介ぇ?顔赤いぞ♪」
「〜〜〜〜〜〜〜っ!!!!」
「だもんvv」。
ナルトでなければ許されない言葉。
と いうか顔が赤いのはサスケのみならず、その場に居た全員だ。
皆心なしか前かがみになっているような・・・・・・いやいや幻覚だ。きっと。
何人かトイレに直行しているのも偶然に過ぎないだろう。
「お前・・・性格悪すぎるぞっ・・・!!!」
と、サスケ。
―――ま、要するに遊ばれているということで。
「へぇ?この俺のどこが性格悪いって? なぁ答えてみろよ下僕一号」
「だから下僕言うな!!」
現在開店前の準備中。
ナルトが足が痛いというから、(無理矢理)サスケにマッサージさせていたのだ。
果たしてより哀れなのは、直接の被害者でもある意味役得なサスケか、
ただナルトのあえぎ声を聞いているだけでひたすら悶々している周りの皆か。
・・・・・・まず間違いなく、ナルトは大げさな声をあげている。
だが当の本人はしれっとした顔で大きく伸びをした。
「あーなんかのど渇いたな・・・香介、茶・・・・・・いや、いいや自分で行く」
「・・・・・・・・・・・・珍しいな」
なんとか立ち直り、軽く目を見開くサスケ。
いつものナルトならまず間違いなくサスケに茶を淹れさせるはずなのに。
徐にカウンターの裏にある冷蔵庫を開け、中身を物色するナルト。
そして取り出したのは牛―――・・・・・・
「「「ってそこで白い液体を飲むなぁっ!!!」」」
「ぶっ・・・! 白い液体て・・・お前ら・・・・・・ただの牛乳だろ」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・確実にアホだ。
見事にハモッた全員に、多少顔を引き攣らせつつ返事を返すナルト。
シカマルが「飲むな!頼むから今飲むなっ!!」と必死の形相で駆け寄ってくるが、
ナルトはニヤリと笑って―――・・・・・・
「「「パックに両手を添えるなっ!!」」」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・それでいいのかホスト諸君。
ご丁寧にもパックを両手で持って牛乳を飲むナルトに、理性が切れた数人が迫る。
シカマルが慌てて止めようとするが間に合わず、驚いたナルトはつい噴出してしまって―――・・・
「ぅわ・・・牛乳でぐちょぐちょだ」
「「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ぐはっ」」」
―――とりあえず、店内が血の海と化したのは言うまでもない。
欲しければ守りきれ
「・・・ったく・・・・・・お前らどうかしてるぞこの鼻血の量は」
「「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」」
優雅に椅子に座りつつ、呆れ顔の人間のお言葉一つ。
全員の顔が引き攣ったのは言うまでもなかった。
そこら中に飛び散った血痕を皆でいそいそと拭き取る―――・・・・・・
・・・という惨状の原因となったのは間違いなくナルトであるのだから。(しかも故意で)
だがさすがのナルトもこんな状況になるとは予想していなかったのか、
罪悪感のカケラも無い様子ですまし顔だ。
「しっかし・・・開店までに間に合うのか、これ?あと20分だぞ」
「・・・・・・・・・・・・・・・口はいいからお前も手を動かせよ鳴人・・・」
「ぅおっ! ンだよ紫華丸、景気悪いツラしやがって」
ヒタリと、後ろから肩に手を置かれた。
最近妙にシカマルの粘菌度レベルが急上昇しているような気がする。
・・・・・・「粘菌」と言えば・・・・・・・・・・・・
(あー、ヤな奴思い出しちまったな)
頭の中をよぎった人物に顔を顰めるナルト。
振り払うかのように、シカマルから受け取った雑巾で床をこする。
“奴”に関する記憶には嫌な出来事しかない。
「あ―――・・・紫華丸、あのさ・・・・・・」
「私語厳禁!“あの人”を呼ぶぞ・・・?」
「すまん悪かったぁっ!!」
「・・・い、いや。土下座までせんでも・・・・・・」
唐突に。
何故か土下座までして謝るナルト。“あの人”とは“奴”と同義語だ。
驚愕の視線が二人に集まり、続いて刺すような視線がシカマルだけに注がれる。
それにひくひくと頬を引き攣らせつつ、シカマルはフォローの言葉をかける。
「えっと・・・鳴人?ほらめんどくせーことしてんじゃねぇよ、な?
もう「“あの人”を呼ぶ」なんてこと言わねーから・・・顔あげろって」
「ほ、本当だな・・・!?」
「お・・・おう」
「―――ふぅ。寿命が縮むかと思ったぜ・・・」
本気でかいた冷や汗を拭いつつ、ナルトは嘆息する。
いつになっても“奴”に対する苦手意識(というか本能的な拒絶反応)は消えない。
(奴には・・・奴にだけは・・・あの粘菌紛いの壊れ気味ホストにだけは会いたくねぇ・・・!!)
ナルトがここまで苦手とする人物は一人だけ。
―――その名を、ホスト界のラスボスこと“うちはイタチ(伊那智)”と云う。
+ + + +
狐乃覇と獅之美の丁度中間ほどに位置するホストクラブ。
名を「朱槻」という、この店の中央で。
「伊那智さん・・・あなたまた私のイチゴ大福食べましたね・・・?」
という、なんとも哀しげな声が響いていた。
声の主はどこからどうみても魚類にしかみえない男。
この店のNo.4ホストの緋雨こと鬼鮫である。
それに答えるのはNo.1ホストの伊那智ことうちはイタチ。
目が一瞬泳いで見えたのは気のせいか。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・喜べ緋雨。
今頃お前のイチゴちゃんは俺の腹の中でぐちゃぐちゃになりつつ
昨日喰った激甘・イチゴショートケーキとフォーリンラブだ」
「なんなんですかそれっ!?返してくださいよ!」
「・・・返せだと?お前は無惨な廃棄物と化したイチゴちゃんを見たいのか?」
「ヤメてくださいよそんなん私変態じゃないですか!!」
まったくその通りだ。
残念なことに鬼鮫にはそんな変わった嗜好はない。
「大体なんで伊那智さんは私のおやつばっかり食べるんです!?」
「・・・・・・まず第一に蛇人間とその下僕とはまったく好みがあわない。
第二にエロ仙人のおやつは時代的にも本人自体も化石化している」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
ダメだ。
この下まつ毛男に常識など通用しない。
―――と、イタチの言葉を聞いた面々がやってきた。
「ちょっと、伊那智アンタねぇ・・・角人と慈雷斬はともかく私まで馬鹿にしないで頂戴」
「それ酷いですよオロ・・・いやヘビィ・・・様?」
独特のオネェ言葉のホスト・・・当店No.2、ヘビィこと大蛇丸だ。
そして彼にツッコミをいれたのはヘビィの下僕、No.3の角人こと薬師カブト。
「・・・別に俺は「好みがあわない」と言っただけだが?」
「じゃぁそんな車で鼬を轢き殺したみたいな嫌な顔しないでよ」
「・・・・・・・・・・・・・・・フン、爬虫類は鱗占いでもやっていろ」
「それってアレですよね・・・花占いの要領で鱗を一枚一枚剥いていくやつですよね」
「その通りだ緋雨」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・口が減らないわねアンタは・・・」
「指名客もお前と違って一向に減らないがな」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
ひくひくと、頬を引き攣らせる大蛇丸。
自来也は「関わりたくないのぉ・・・」と明後日の方向を向いた。
―――と、大蛇丸がとりなすように声を上げる。
「ま、まぁいいわ・・・・・・伊那智、アンタ聞いたことあるかしらね?
最近“フェロモンマスター”を“ホスト界の核爆弾”が狙ってるって」
「!? なんだそれは・・・!!」
唐突にポーカーフェイスを崩し、声を上げるイタチ。
大蛇丸はその様子を満足げに眺めた後、もったいぶったように話し始める。
「この前聞いた話なんだけどね・・・虎芥子が狐乃覇を潰そうとしたらしいのよ。
でも何故か喧嘩をして返り討ちにあって、逆に鳴人に惚れちゃったって」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「どうするの?放っておく?」
正確に言えば、惚れてから喧嘩になったのだが。
噂とは不確かなものだ―――・・・例えば、イタチの冷静さのように。
イタチは無言でブルブルと震えたかと思うと、唐突に立ち上がる。
そして形良い唇から漏れた声は、どこまでも低く恐ろしいものだった。
「・・・・・・・・・・・虎芥子め・・・!」
大蛇丸は苦笑し、カブトは眉を顰め。
緋雨は更なる災難を予想して泣きそうになり、自来也はただ嘆息する。
「“俺の”鳴人・・・いやナルトに手を出すとは・・・い〜い度胸だ・・・・・・」
ゴゴゴゴゴ。
まさにこんな地割れの効果音が今のイタチには似合う。
そして、徐にロッカールームへ行って自分の荷物を持ってきた。
「イタチ・・・お前やっぱり“それ”はやるんだのぉ・・・・・・」
呆れたように呟く自来也。
イタチは何故か俯き“それ”を手にとった。
そして―――・・・
「・・・・・・一種の願掛けのようなモノだ・・・要は気合だ、気合」
「気合ねぇ・・・」
顔をあげると、まず目に付くのは“赤い”瞳。
「俺は“これ”を装着することによってバージョンアップ(?)するのだ!!」
「「「「・・・・・・・・・・・・・・・」」」」
―――いや、普通のカラコンだ。カラコン。
「クク・・・覚悟しろ虎芥子め・・・・・・」
そう言って呪いの藁人形を取り出すイタチは、この世の何より恐ろしかった。
そしてその日の同時刻、ナルトは寒気に、カカシは殺気に当てられ熱を出すことになる。
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お願いですから私の品性を疑わないで下さい。(懇願)
それにしても鬼鮫の一人称って「私」でよかったっけ?
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