「―――なぁ兄ちゃん・・・アンタどこから来たんだ?」
「男の割りに随分キレイな顔してんなぁ・・・」
「―――あ゛?」
『野宿』という選択肢を考慮に入れ始めたため、多少深刻ではあったが。
初めての“自由”に浸り、せっかく良い気分であったというのに。
振り返れば目に飛び込んでくる、4つの下品なブ男の顔。
欲しければ見極めろ
「―――んだよ、お前ら」
ブサイク・下品・汚い。(酷
ナルトが彼らに抱いた第一印象はこれらだ。
だらしなく着崩した衣服、くちゃくちゃと不快な音を出すガム。
中途半端に色が抜け、ワックスでベタベタの髪が夕闇に浮かんでいる。
全てが洗練されたナルトとはおよそ正反対の4人が、
下卑た笑みを浮かべながら近付いてきた。
生理的に受け付けず、眉を寄せながら一歩後退するナルト。
「そりゃぁコッチのセリフだぜぇ?」(金髪男)
「つーかそんなカッコしてっけどお前ほんとに男?女にしとけって」(茶髪ぷりん)
「ハハ、違イねェ!!エラい別嬪サンだしナ!!ギャハハハハッ!!!」(ヤク中?)
「まーとりあえず俺らに目つけられちまったんだし諦めな?
夜の俺らの公園にそんな綺麗な顔してやってくるのが悪ぃんだ」(ワックス男)
「・・・・・・公園っつーのは『公(おおやけ)』の園だから公園なんだけどナー。
憲法っつーわが国の最高法規によってそう定められているはずデスが。
ていうか俺の顔は生まれつきなんだからそんなこと言われても困るし」
ぽりぽりと頬を人差し指で掻きつつ、脳内で勝手に4人を名づけつつ。
非常に理不尽かつ頭悪そなコトを言う彼らに、ナルトは半眼で抗議する。
(ちなみに心の中で『三番目の奴絶対ヤク中だ』とか
『公園で“たむろ”って・・・この時代に?』とか思ってたりする)
「ぁぁン?小難しいこと言ってんじゃ・・・「や、理解とか期待してないケド」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・てめぇ」
金髪男の発言を最後まで許さず。
ナルトが澄ました顔で爆弾発言をしてやれば、
もともと凄まじかった顔が更に醜悪に歪む。
「なんだよ?事実じゃんか。
つーか俺は何にも悪いことしてないし。お前らに用はないし。
喧嘩売るなら買うけどやめとけって。言っとくけど俺強いぜ?」
「・・・っ、言わせとけばッッ!!」
「男でもいい、ヤッちまおうぜ!!」
(―――ハッ、莫迦が)
ニヤリと嗤って、構えを取った。
このようにルール無しでの実戦は初めてだ。
しかし負ける気はしない。負けるわけがない。
幼い頃から半ば無理やりにさまざまな武芸をやらされてきたのだから。
そして案の定、勝負は数分とかからず決着がつく。
+ + + +
「―――とにかく、カカシについては―――気絶してるな―――
保留にしておくとして、だ。お前らだけに話しておきたいことがある、来てくれ」
「「「・・・・・・・・・???」」」
ここ、ホストクラブ狐乃覇に高熱を出した虎芥子が転がり込んできて。
サスケ・キバ・シノが仕方なく面倒(?)を見つつも途方に暮れており。
そこへ救世主シカマル氏がやってきて、言われたセリフがこれだった。
「なんだよ、話したいことって・・・・・・ここじゃダメなのか?」
キバが怪訝そうに問えば、返ってくるのは視線―――虎芥子にむけての。
それをみて3人が同時に察知する。
“虎芥子に知られてはならない内密のこと”だと。
いつも騒がしいキバまでもが無言になり、黙ってシカマルに着いて行く。
+ + + +
「ハッ・・・・・・くしょっ・・・!!」
「何モンだてめぇ・・・・・・!!!」
「・・・・・・ア・・・空に万札浮いテルヨ・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ッッ」
4人があげる、十人十色ならぬ四人四色の苦悶の声。
(3番目がそうであったかと聞かれれば肯定しづらいが)
そんな彼らに冷ややかな視線を送りつつ、ナルトは嘆息した。
「ったく・・・だからやめとけって言ったんだよ。ド素人が」
「・・・てめっ・・・・・・!!」
苦しそうに見上げてくる金髪男。
その濁った目にあるのは憎悪の光だ。
あの家にいた時に嫌というほど見てきたそれに、胸焼けがする。
―――ナルトの目から感情が消えた。
この国の裏を―――言い換えれば“闇”を牛耳る家の『元』御曹司。
既に彼にその資格はないが、知り尽くしてしまった“闇”を払うことは出来ない。
底冷えのする瞳に4人が息を呑んだのに気付き、ナルトは再び嘆息する。
「・・・じゃぁな。騒ぎになる前に―――・・・!?」
ゴッ。
「・・・ッぁ―――!!?」
突然の米神への衝撃に、ナルトは為す術も無く倒れこんだ。
+ + + +
―――着いた先は、屋上だった。寒い。
当然だ、今は冬なのだから。
それ故にいやいやながら虎芥子を追い出すこともしなかったのだ。
「おいシカマル・・・何もこんなトコで、」
「室内だと誰が聞いてやがるかわかんねーからな。念のためだ」
「・・・・・・そんなに人に聞かれたらマズイ話なのか?」
キバが身を震わせて不満を言えば、シカマルが深刻な表情のままで黙らせる。
苦労人ではあるがいつでも余裕たっぷりの彼からすれば、珍しいことだ。
サスケが形良い眉の片方を跳ね上げ再び確認する。
シノは先程から一言も発していない。
「―――そうだ。それにこれは俺の問題というよりナルトの問題だからな。
そういうことならお前らだって少しは真面目に聞いてくれっだろ??」
「「「・・・・・・・・・」」」
ナルトの名を出した途端、一様に顔を引き締める三人。
そのことに内心で苦笑しつつも、シカマルは意を決して次の言葉を口にする。
「ナルトにはな、ある夢があるんだ」
「「「・・・・・・・・・夢?」」」
何故そこでドリーム??
危うくツッコんでしまいそうになった3人だが、
シカマルの変わらぬ深刻な表情を見て聞く事はしない。
「だがソレを叶える為に多くの仲間が必要なんだ。
んで、その壮大かつ最難関な夢っつーのはだな―――・・・」
「「「・・・・・・(ゴクリ。)」」」
「友達を100人作ることなんだ」
+ + + +
「ふー、感謝するぜネジ!」
「お前が来なかったらしばらくムカつきすぎて飯も食えなかったかもな」
「はっ、お前に限ってそれはねーだろ」
「違いネェ!!ギャハハッ!!」
「―――4人がかりでそのザマか・・・」
(・・・・・・・・・・・・・・・・・・)
頭上で交わされる軽い雑談。
「いや、コイツ本気強いって!・・・つーかどうするよ?」
「ヤッちまおーぜ!?ギャハッ!!」
「ボコッただけじゃやっぱ物足りねぇよなぁ・・・」
「おいおい・・・本気か?男だろう」
「でもエラい別嬪だぜ?ネジもちゃんと顔見てみろって」
(ッ・・・・・・胸糞悪ぃ・・・!)
ナルトの意思など関係なく、強制的に茶髪ぷりんの臭い靴先で顎を持ち上げられる。
今までこのような扱いを受けたことのない彼にとって、この上ない屈辱だ。
「・・・クッ・・・・・・!」
小さく呻き声をもらす。
あの一撃により倒れてから、一方的な暴力を受けた身体はボロボロだ。
―――油断した。
“自由”に浮かれて気配を感知できなかったのだ。
それだけではない。
この、米神に見事な回し蹴りを食らわせてくれた“ネジ”とかいう男。
完璧な蹴りの型といい、威力といい、只者ではないだろう。
長い髪もよく似合っているし、ブ男4人組と違い顔立ちもなかなかに良い。
それに加え、奴らには天地がひっくり返っても身に付かないような品性がある。
なぜこのような連中とつるんでいるのか、それさえも不思議なくらいだ。
「・・・・・・・・・・・・」
ネジが屈んで、顔を近づけてきた。
ギッと睨みつければ大抵の人間は後ずさるが、彼には効かないようだ。
そのことに若干の悔しさを覚えつつ、ナルトは顔を顰める。
「・・・・・・?」
一瞬、ネジが怪訝そうな顔をしたような気がした。
しかしそれを疑問に思う間も無く、ヤク中の暴挙に眉をよせる。
「おィ、コイツ2万も持っテルぜー!!」
「ふーん、まぁまぁだな。ゲーセン行くか??」
「いやメシだろ、メシ」
「んなモンよりスロットで稼ぐに決まってんだろ!?」
強引にポケットに手をつっこまれ、なけなしの金を奪われる。
「・・・ッ、止めろ・・・・・・!」
あれがなければ本当に自分は無一文になってしまう。
「るせぇ、黙れッッ!!」
反抗すれば、再び降ってくる理不尽な暴力。―――と、思いきや。
「やめろ。もう行くぞ」
(・・・・・・・・・?)
痛みも衝撃も、襲ってはこなかった。
ゆっくりと見上げれてみれば、なぜかネジが金髪男を制止している。
その奇妙な光景に我が目を疑った。
「んだよ、ネジ。邪魔すんじゃね「やめろ」
「ッッ―――わ、わかったよ!やめりゃぁいいんだろ!?」
有無を言わさぬ声音。
この歳で(多分己より1,2歳上くらいだろう)このような声が出せるとは。
そんな少し外れたところで驚きつつも、ナルトは黙って事態を見守る。
「男を襲うだなどとはぞっとせん。
いくら夜の公園だと言っても人が来ることもあるだろう。
後始末は俺がしておいてやる、さっさと行け」
「―――ちっ、ネジがそういうんじゃぁ仕方ねぇか」
「じゃーもう行こーぜ」
ネジの硬質な声が痛む頭に心地よかった。
何故彼が己を庇ってくれるのか―――いや、何か理由があるのだろうが。
そんなことを考えるよりも、今のナルトにはある疑問があった。
普通の人間ならば考えることなどめったに無い、
およそ世界の真理とも呼べるようなことに対する素朴な疑問。
「・・・ま、待ッ・・・てくれ。一つ、聞かせて欲しいんだ」
それを聞くため、ナルトは去りかけた4人を引き止める。
「何で・・・お前ら、は、そんなに金を欲しがるんだ?
そんな、ものは所詮・・・紙に過ぎないじゃ、ねーか。
たかが紙に・・・人生を狂わされたらたまんねーぞ」
問えば、奴らが振り返り―――・・・笑った。
「「「「ギャハハハハッッ!!!!」」」」
「・・・・・・・・・!?」
ナルトには、彼らの哄笑の意味が理解できない。
困惑した表情で見つめれば、金髪男が心底可笑しいと言った顔で指をさしてくる。
「おまっ・・・ハハッ!!馬鹿じゃねーのか!!?
金が紙だなんてこたぁ誰だって知ってんだよ!!
世の中金が全てだってこともな!!」
「ハハ・・・・・・こんなこと言う奴初めて見たぜ!
金がありゃぁ何だってできんだ、女だってついてくる・・・・・・
今のお前みたいなエライ目にあうこともねぇしな!!」
「・・・・・・今の・・・俺みたいな・・・」
たしかに、そうだ。
あの家にいた時には、間違ってもこんな状態になることはなかった。
ハハハッ、ハハハハハッ!!
尚も続く耳障りな哄笑。
酷く頭痛がして、そんな4人をネジが軽蔑視していることにも気付かない。
(・・・―――金―――か。確かに、金は必要だな・・・・・・)
何をするにしても。
金は必要だ。
己の夢―――『期限の無いの自由』を手に入れる為にも。
タイムリミットは、5年後―――22歳の夏だ。
未だ笑いながらも去っていく4人を横目に、ナルトはぼんやりと考えた。
こんな世間知らずな己にできるだろうか。叶えられるだろうか。
『もう一つの条件』を果たすことは、できるのだろうか――――・・・・・・
未だ動かないネジの存在を疑問に思いつつ。
ひどく、眠いと思った。
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オリキャラ最低4人組出演+
このサイトでは初☆ネジ様主要キャラ昇格決定。
や、「主要」と言えるのかは謎ですが。
好きだよ。ネジ。(愛の告白/ぇ
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