まさか理解してもらえるとは思ってなかったが・・・・・・
こんな形になってしまうとは、はっきり言って予想外だ。
受け入れる受け入れないの問題じゃなかったのである。
―――この男が、現れてしまっては。
“火遁―――”・・・・・・
俺が好きなら本気で来い!
ざけんじゃねぇぞ・・・・・・何でアイツがここにいる!?
面倒なことこの上ない三班合同任務の休憩中。
カカシのセクハラを適当にかわしつつ、から揚げを頬張っていたところに。
“奴”の気配がしたのだからたまらない。
何年ぶりになるのか。
懐かしいと言えば懐かしい、忌々しいと言えば忌々しい気配。
愛しいと言えば・・・いや、決してそんなことはありえない。
ついでにもう一人、知らない奴がいる。
俺は不自然にならぬようホルスターからクナイを抜き、
磨いているフリをしながら“奴”の位置を探った。
―――8時の方向森の中、38メートル。
上忍達は気付かない。当然だが。
俺でも勝てるかどうか・・・恐らくは互角だろう。
負けない自信はあるが、倒す自信もなかった。
マズイな・・・近づいてきてる。
目的はわかっている。
だがそれを達成させてやる気はさらさら無い。
周囲の会話に合わせから揚げを頬張りつつ、見えない早さでクナイを放った。
軽い牽制。ついでに手紙を結び付けておく。
『今は来るな。話があるなら“本宅”へ来い。』
さて、どう出る?
しばらく待っていると、またしても“奴”がコチラへ近づいてきた。
残り21メートル。
懲りない奴だな・・・性格は変わってないワケだ。
溜息をつく。
続いて千本を取り出し、2本同時に放った。
先ほどのクナイも手で受け止めたのか、音が鳴ることはない。
どうやら・・・諦める気は無いらしいな。
腹を括る。
深呼吸をする。
さっと周りを見回す。
―――グッバイ、俺の平和な日常!
俺は徐に立ち上がり、印を結んだ。
“火遁・炎爆流撃砲!!”
+ + + +
凄まじい爆音と共に、森の一部が焼け消えた。
悲鳴。息を呑む音。そして束の間の静寂。
皆が俺の方を振り返り、隙無く構えた“うずまきナルト”を見て呆然とする。
「ナ・・・ナルト・・・・・・!?」
そう擦れた声で呟いたのは誰だったか。
俺は確かめることもせず、大きく後方へ跳躍する。
そして一言。
「カカシ! 皆を非難させろ!!」
「え・・・」
動こうとしない上忍達。事態が飲み込めないらしい。
俺は小さく舌打ちするが、“奴”は他の人間に危害を加えたりしないだろう。
―――こちらから手を出さない限りは。
俺は10メートル程皆から離れ、姿を現すのを待った。
晴れてゆく煙の中から出てくる漆黒の人間。
ゴホゴホと咳き込む鮫のような人間(?)もいる。
「なっ・・・何故お前が・・・ここにっ・・・・・・!!」
呆然と呟くカカシ。
だがそんなことより、もっと気をつけることがあるだろう?
「きっ・・・貴様ぁあああああっ!!!!!」
「サスケ!!!」
カカシとアスマの制止も間に合わない。
こうなると思った・・・だから本宅に来いと伝えたのに。
俺は短く舌打ちし、サスケの足を引っ掛ける。
「っ!?」
つんのめり、無様に転がるサスケ。
信じられないとでも言うように見上げてくるが、
俺は無視して冷たい声音で言い放つ。
「少し黙れ・・・サスケにカカシ」
「「っ・・・!!」」
俺の殺気に当てられ、黙り込む二人。
他の連中も息を呑んで沈黙する。
「ナルト・・・お前はいったい・・・・・・!?」
「黙れと言っているだろう、カカシ。死にたくなければソイツらを守ってろ」
「・・・・・・・・・・・・」
そこでようやく理解したのか、カカシは素直に下忍達の前に立つ。
納得のいかない顔をしているが、俺の実力に気付いたのだろう。
「―――さぁてイタチ、俺の熱烈なラブレターを読み飛ばしたからには覚悟できてんだろな?」
「ああ・・・・・・お前を嫁に迎える覚悟ならいくらでもできているよ」
「・・・・・・ですからイタチさん、暁の命令では」
「黙れ鬼鮫。俺が毎晩毎晩ナルトへの想いを綴ったポエムを音読するぞ!?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・それだけは勘弁してください」
―――はい?
何か妙な単語が聞こえたような気がする。
嫁?想い?ポエム?音読?
俺は必死に自分にそれらを空耳だと言い聞かせ、
取り乱さぬよう硬い声音で応える。
「おふざけはもういい・・・殺り合うのならケンカは買うぜ?」
「殺り合うだと!? 何を言っているんだナルト・・・俺はお前を攫いにきたのに」
「だから“九尾”を攫いにきたんだろ?俺は着いていくつもりはない」
「・・・・・・・・・・・・」
ハァ、と大きく溜息をつくイタチと鬼鮫。
イタチの方は若干わざとらしい。芝居がかっている。
「バカだねナルトは。暁なんて関係ない、俺はお前が欲しいんだよ」
「・・・・・・どうか聞き流してくださいナルトさん」
「黙れ鬼鮫。俺が毎晩毎晩夜なべして作ったナルトラブソングのコーラスをさせるぞ!?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・それだけは勘弁してください」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
半眼で目の前のイッちゃってる抜け忍を見つめる。
その視線を何と勘違いしたのか、イタチは顔を赤らめた。
ヤバい。
抑えられそうにないっつーか抑えたくもないような殺意。
だがここでコイツを殺してしまうとサスケが・・・・・・
「おい・・・貴様、俺を無視するつもりか!?」
ああほら、やっぱり。
サスケは俺とコイツの間抜けな会話を聞いていなかったのか、
この場で唯一脱力していない人間だ。(イタチ以外)
他の連中は「もうどうにでもなれ」と言った感じ?
「サスケか・・・久しいな」
涼しい顔で答えるイタチ。
その態度にサスケがキレてイタチに襲いかかる。
なんかもー先が予想できるので俺は止めもしなかった。
「―――ふざけるな! お前は・・・俺が殺すっ!!」
「黙れ愚弟!お前ばかりナルトと一緒にいやがって・・・許すまじ!!」
「イ、イタチさん!?」
「万華鏡写輪眼―――月読!」
「なっ・・・ぅぁああああああっ!!!?」
「フン・・・カカシさんとイチャパラでもしていろ」
「なんだってぇっ!?」
目を血走らせてツッコんだのはカカシだ。
少し気の毒な気がする。
「アナタもですよカカシさん・・・いつもいつもナルトにセクハラしやがって!」
「は・・・!? 何で知って!?」
自覚はあったのか、カカシ。
『や、やめろカカシ・・・』『そこは・・・ダメだ・・・』『助けてくれ・・・生き地獄だ・・・』
・・・などなど、悩ましげな(?)喘ぎ声(!?)をあげるサスケを木の棒でつつきながら思う。
「さぁ覚悟してくださいっ!!」
「や、やめろぉおっ!!」
「再び万華鏡写輪眼―――月読!」
「ぅ・・・ぅぎゃぁぁぁああああああああっ!!!!?」
「アナタもサスケとイチャパラしていなさい」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
もう帰ってもいいだろうか?
後ろの連中の記憶操作もしなければならないし。
コイツのことは前々から変人で変態だと思っていたが、ここまでとは。
―――ハァ。
俺は「フハハハハ!」と高笑いするイタチの横を通り過ぎ、
魚と人間の間に生まれたと思しき鬼鮫に話し掛ける。
「アンタも苦労するね・・・大変だろ、こいつの相手するの」
「全くですよ・・・理解して頂けて嬉しいです」
うんうん。そうだろうそうだろう。
俺は何故か体育座りしている鬼鮫の肩に腕をまわし、
変人の相手をすることとなった悲しみと苦労を分かち合う。
そしてゆっくりと立ち上がり―――・・・・・・
「今すぐ里を出て行かないと嫌いになるぞイタチ?」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
一瞬にして凍りつくイタチ。
高笑いしながらカカシとサスケを踏みつけていた足を止め、
ギギギ・・・と効果音がしそうなぎこちなさで俺のほうを向いた。
そして再び流れる長い沈黙。
時間が経つごとに増えていくイタチの汗。
心の中で凄まじい戦いが繰り広げられているらしい。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・帰るぞ、鬼鮫」
「・・・・・・わかりました」
イタチは心底傷ついたように、鬼鮫は心底ほっとしたように。
そして俺はトドメとばかりに言い放つ。
「イタチ・・・俺はシツコイ男は嫌いだ」
「・・・・・・!!」
蒼白するイタチの整った顔。
内心で笑いながらその様子を眺めつつ、必死に真顔を作る。
そして2秒後、イタチは鬼鮫を引っ張って彼方へと消えていった。
俺の額に口付けることを忘れずに。
+ + + +
「――――――――――――――野郎」
額を抑えつつ、苦笑。
全くもってワケのわからない奴だ。
しばらくイタチが去っていった方向を見つめ、
完全に気配が遠ざかったことを確認する。
そしてカカシとサスケを術中から解放してやった。
「はっ・・・ハァ、ハァ・・・じ・・・地獄だ・・・・・・!!」
「ぅっ・・・ぅぉおぇええっ!!」
サスケは今にもぶっ倒れそうで、カカシは今にも吐きそうだ。
二人が落ち着くのを待って、俺は他の皆に顔を向けた。
「―――さて、悪いが記憶を消させてもらうよ」
「「「!?」」」
全員の顔色が変わる。
俺は無視して印を結び始めるが―――・・・
「「「ちょっと待て!!!」」」
「・・・・・・なんだよ?」
ハモる全員の声。
女子達の口調がやけに男らしい。
どうせ俺の正体を知りたいのだろう―――答えてやる気は無いが。
だが次に発せられたのは、全く予想外の言葉であった。
「「「ナルト(君)・・・俺(私)達があの変態から守ってやる(あげる)!!」」」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・は?」
アスマ 「ったくあの変態抜け忍め・・・!」
サスケ 「我が兄ながら恥ずかしい!」
イノ 「あんなやつにナルトは渡せないわよー!」
ヒナタ 「呪ってやる・・・・・・」
チョウジ 「カカシ先生より厄介だよね・・・もぐもぐ」
キバ 「今度来たら熱湯かけてやろうぜ!!」
サクラ 「それより液体窒素の方がいいわよ!」
シノ 「・・・蚊に刺し殺させる」
シカマル 「めんどくせぇ・・・が、計画練らないとな」
紅 「ナルトの相手が里外なんて論外だわ!」
カカシ 「・・・くそぉ・・・俺にも万華鏡写輪眼が使えたら・・・・・・!」
「「「ナルト(君)・・・というワケで記憶なんか消すな(消さないで)!!」」」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
もっと他にいろいろ言いたいことはないのだろうか?
凄まじい殺気と熱意と気迫だ。
―――俺に、『嫌』と言わせる気はないらしい。
「―――――――――――――――――わかったよ・・・」
ぴくぴくと頬を引き攣らせつつ、俺は素直に頷くしかなかった。
+ + + +
その後何度もイタチはやって来たが、
自称『ナルト親衛隊』たちによって尽く追い返されていた。
俺は安堵しつつもこう思う。
俺が好きなら―――・・・本気で来ないと浮気するぜ?
戻る
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グッバイシリアスなバレネタ話!!!
最初はシリアスだったのに!!!
イタチさんと殺し合い(ぇ)させるつもりだったのに!!!
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