ああ、オレはいつになったら解放されるのだろう。
・・・・・・この悪夢のような二人から。
こうなったら仕方ない、“あの人”に頼むしか―――・・・・・・
ナルイノ撲滅作戦
「ナルト・・・イノ・・・頼むから仕事してくれ・・・・・・!!」
「い・やv」
「何よーシカマル、人の恋路を邪魔しないでくれるー?」
目の前に積まれた書類の山。山。山。
とにかく人使いの荒い五代目火影が不在の火影室。
その中央で書類に埋れる3人の影。
うち1人は(オレだ、オレ)黙々と机と睨めっこしているが、2人は横でイチャついているし。
口元が1.29cmくらい引き攣ったって、誰も文句は言わないだろう。
「・・・・・・むしろお前らが馬に蹴られろ」
「安心しろ。そん時は速攻で灰にしてやる」
「ナルトは強いから安心だもんねーv」
「そうそう、そうだよなーイノvvv
お前を傷つける奴は皆生皮引ん剥いて晒しモンにしてやるからなvv」
「ヤだナルトったらーvv 私の方こそナルトを傷つける奴は皆
全身の骨を粉々にしてイカもタコも真っ青な軟体動物にしてやるわvv」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「うふふふv」とか「えへへへv」とか聞こえてきそうだ。
殴りたい。めちゃめちゃ殴りたい。
オレは極めてマトモな衝動を抑えつつ、我慢強く主張する。
「お前らなぁ・・・! これは一応綱・・・火影様に言い渡された任務だぞ?
明日までに全部片付けなきゃなんねーってのに・・・・・・!!!」
「ンだよ、こういうのはお前が一番得意だろ??」
「そうそう。適材適所よねーvv」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
ああ、神様。
何故オレはこいつらの幼馴染として生まれてしまったんでしょうか。
せめてこの二人が出会わなかったなら・・・・・・!!
つーか何でこんなメンドクセーことをしなきゃならないんだ!?
・・・と、いくら心の中で文句を言っても仕方が無い。
実力的には文句なく ナルト>オレ>イノ という順序だが、
イノには史上類を見ない最強最悪・冷酷自己中なナルトがついているのだから。
とにかく、耐えるしかない。
「・・・・・・わかった、これはオレが全部引き受けてやる。
その代わり明日の里外任務は絶対休んでやるからな!?」
「お、気がきくじゃん??じゃぁ遠慮なくエンジョイしてくるわ」
「久しぶりに二人っきりねーvv」
「お前ら・・・任務をなんだと・・・・・・」
「「暇つぶし。」」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・逝ってこい☆」
さぁ、ナルイノ撲滅作戦を始めよう。
+ + + +
死ぬ思いで書類を片付けた後、オレは“ある場所”へ向かった。
今ごろナルトとイノは二人っきりで任務を「えんじょい」しているところだろう。
そう思うと無性に腹が立ってしょうがなかったが、
これからやろうと思っている報復作戦を考えれば我慢できる。
“この人”は、絶対に協力してくれる。
「―――と、言うわけです」
「・・・・・・なるほどな・・・“オレの”ナルトがイノとイチャつきまくっている、と」
「はい。それもTPOをわきまえずどこでもおっ始める勢いで」
これは少々脚色しすぎだが。
まぁ大げさに言えば言うほどこの人は本気になってくれるだろうから。
「・・・・・・・・・よし。今すぐ行こう」
「ありがとうございます!」
「久しぶりだな・・・ナルト」
「イッ・・・イタチ!!」
「どどどどどどーしてイタチさんがこんなところに!?」
至極簡単に以来を引き受けてくれたイタチさんに引き連られ、
オレ達は任務を終え里内の森を歩いている二人の元へとやってきた。
もちろん手はカップルつなぎで、愛妻弁当を食べさせあっている。
「イタチぃ・・・今ごろ出てくるなんて反則だぜぇ?」
ナルトとイノがじりじりと後ずさる。
やはりイタチさんに対しては相当の苦手意識があるらしい。
俺とナルトはイタチさんに修行をつけてもらいながら育ったのだが、
その内容がかなり・・・・・・アレなものだったから・・・ナルトに対してだけは。
イノは偶然ナルトの正体を知ってしまって・・・・・・まぁ、その後は言わずもがな。
現在里最強の忍であるナルトに対抗できるのは、イノとイタチさんくらいだろう。
―――と、イノが特殊な会話法でナルトに話し掛けている。
だがオレもその会話法は知っているので難なく盗聴できるのだが。
『どーするの!?勝てそう!!?』
『勝てるか!つーかこんなネバネバ人間に勝つほど道外してねぇ!!』
『そ、そうよね・・・・・・』
『でも安心しろイノ。絶対守ってやっからな・・・vvv』
『いやんナルトったらぁvvv』
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
こんな状況でもイチャつける二人はある意味で立派な人物だといえよう。
人間、前向きさと度胸はあればあるほどいい。(意味が違うが)
「お前ら・・・この期に及んでまだそんなことを言うか・・・?」
しかし我慢できず、イタチさんの後ろからヌラリと姿を現すオレ。
「うおっ!シカマルお前盗聴してたのかよ!?
・・・つーかお前までネバネバ人間の仲間入りかよ・・・・・・!」
「黙らっしゃい!!」
「フ・・・フン、てめぇ覚悟できてんだろうな!?」
覚悟。
この言葉にピンと反応するオレ。
当然だ、覚悟がなければこんな最凶の奴に敵対なんてしない。
「ったりまえだ・・・くくっ・・・お前らのせいでどれだけオレが苦労を・・・!!
だが今日でナルイノは終わりだ!時代は今やイタナルだ!」
「よく言った・・・シカマル」
右隣からあがるお褒めの言葉。
実を言えばナルトがイノと離れてさえくれれば相手は誰でも良いのだが。
『ヤベェぞイノ・・・シカマルも相当イッてるっぽい』
『ちょっと冷たくしすぎたんじゃぁ・・・』
「今ごろ反省しても遅い!・・・覚悟しやがれ!!!」
―――カキィン!
クナイがぶつかる音。
ナルトとイタチさんが肉薄するたび、このような音が響く。
「ナルト・・・諦めてオレの物に」
「却下ぁ!!つーか何故俺が好きなのに俺を攻撃する!?」
「コレも愛だ、愛。俺には女の子をいたぶる趣味は無いしな」
「たった12歳の男の子をいたぶる趣味はあんのかよ!?」
「―――あるv」
うお。
認めたよこの人。
それにしてもやはりナルトは押され気味だ。
実力的にはほぼ互角・・・ないしナルトの方が上だが、相性が悪い。
「知らなかった・・・イタチさんがフェミニストだったなんて・・・」
と、俺の横でハラハラと見守っているイノ。
だがしかし・・・・・・
「甘いなイノ・・・「フェミニスト」は「女に優しい奴」じゃなくて
本来の意味は男女同権主義者のことだ!フハハハハハ!!」
「なっ・・・なんですって!?う、迂闊だったわ私としたことが・・・!!
てゆーか安っぽいヒーロー戦隊モノのザコキャラみたいな笑い方してんじゃないわよ!」
・・・余計なお世話だ。
「あっこらシカマルてめぇイノのことイジめてんじゃねーよ!!」
と、ナルト。
だがそんな余裕こいてていいのか?
「余所見をするな、ナルト。ちゅーvするぞ」
「ぅおぉおおおっ!?器用に言葉の途中でハートマークいれんじゃねぇ!!」
咄嗟にそんなツッコミを思いつくお前も器用だ。十分に。
―――と、イタチさんのクナイがシュッ・・・とナルトの服を切り裂いた。
ちらりと覗く、白い肌。
イタチさんが世にも恐ろしい表情でむふふ・・・vと笑った。
「ちょ、ちょっと!!私以外の人間がナルトのお腹を見るなんて!!」
「だ、大丈夫だイノ!貞操は守る!!」
「ナルト・・・!私のためにっvv」
いや違うだろ。
つーかうぜぇ・・・!
「あーもうこんな時まで鬱陶しいんだよお前ら二人は!!
だが余裕ぶってられるのもここまで・・・くらえ、俺が考えに考え抜いた秘術!
必殺!幼馴染の特権・イノの寝顔写真5点セット!!」
「「なにぃ!!?」」
いや、そんな二人でハモらなくても。
「あ・・・ぁぁあああアンタ何考えてんのよ!?
これなんて・・・ヨダレたらしてるじゃないのー!返しなさい!!」
「シカマル!よこせ!!渡せ!!!つーか売れ!!!!百万までなら・・・」
「だから余所見をするなナルト。首筋舐めるゾv」
「ンのぉおおおぅ!? 語尾がカタカナの人キタァアアア!!」
あー・・・えっと・・・ヤベぇついていけねぇ。(汗)
いやしかしコレはチャンス!!
「そのまま組み敷いてやってくださいイタチさん!!」
―――但し寸止めで。
約束はきちんと守ってくださいよ!?(命かかってるんだよ!)
「言われずとも・・・vv」
「や、やめろっ!!」
いとも簡単に捕まってしまうナルト。
イタチさんの目がMAXヤバい。
「ナルト!!」
「ぉおっと動くなよイノ!・・・俺は○○○な写真も持ってるぞ」
「ンなんですってぇぇええ!!?」
「シ、シカマル!!何だ○○○って!?」
―――余裕だなオイ。
押し倒されて服のファスナー下げられてる状態でそんな事言えるのお前くらいだ。
(頼むから寸止めで終わらせてくださいよイタチさん/泣)
「だから余所見をするなと言っているだろうナルト。それとも公開プレイがお望みか?」
いや、既に公開中なのでは?(全国ロードショーで)
「はっ・・・離せこの脳みそ粘菌人間!!!」
「さぁめくるめく官能の世界へ!!」
ナルトの言い分なんざ全く聞いていないイタチさん。
そろそろ止めないと本格的にマズい・・・・・・
「イッ・・・イノォオオオオ!!!!!!!!!」
「ナルトォォォオオオオ!!!!!!!!!」
・・・が、わざわざエクスクラメーションマークの数まで揃える二人に止める気なくした。
しかしながら・・・人生とは常にここぞという場面で邪魔が入るものだ。
「―――何やってるんだいお前ら!!」
現れたのは、木の葉のトップの火影様。
「「「ツ・・・綱手様っ!!!!」」」
ハモッたのはオレとナルトとイノ。
イタチさんはチッと舌打ちして『邪魔が入った・・・』と呟いている。
ナルトとイノの周りだけブワッ・・・と花が咲いて昔の少女漫画になる。
これには少しひいてしまったのか、
「き・・・気味悪い声出すんじゃないよ」
と、綱手様が一歩下がる。
ああ、残念無念。
大混乱のナルト達と違い少し前から気配に気付いていたオレは、
(もう少し待ってくれ・・・)と心の中で信じもしないカミサマに祈っていたのに。
「―――全く、散歩に来てみたら・・・イタチ、アンタ自分の立場わかってのかい!?」
ご尤も。
イタチさんは一応抜け忍&犯罪者だ。
しかしオレは―――・・・
「綱手様!元は言えばナルトとイノが必要以上にくっつくから悪いんすよ!!
デートの場所や着る服をアドバイスさせられるくらいならまだしも、
食べる団子の数や髪を結うのに使う紐の色、さらにはデートで話した事を
一語一句残さず日記に書き留めて仕事中に二人で朗読されたりっ!!!」
どうだ。
こんなことをされる人間の身にもなってみろ。
綱手様もさすがに同情したのか、「そ・・・それは気の毒だったね」とのお言葉。
だがしかしナルトとイノはどこまでも自己中ぶりを発揮する。
『何よー自分は独り者だからってー』
『うんうん見苦しいよなー』
ヒクッ・・・と米神が引き攣るのを感じつつ、
「・・・・・・・・・・・・・・・この通りです」
と、冷静に冷静に一言。
綱手様はさも気の毒そうな表情でオレとナルトたちを見比べると、
ありがた〜〜〜〜〜いお言葉をくれた。
「―――ふむ・・・確かに最近の二人の行動には目にあまるものがあるね」
「つ、綱手っ!!」
「綱手様そんな!!」
「と、言うわけでナルト。―――暁へ行ってきな。
無論一人でだ。期間は1ヶ月。暁への潜入捜査としてね・・・命令だよ」
「「!!!!!?????」」
一瞬にして固まる二人。いい気味だ。
だがナルトは瞬時に回復し、どうにか止めさせようとする。
「な、何言ってんだよ綱手!?潜入捜査って・・・イタチが黙ってるわけ・・・」
「ナルト・・・・・・俺なら大歓迎だぞv
因みにメンバーにお前の写真を見せたら皆喜んでOKした」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ウソ・・・・・・・・・・・・・・・・・」
おおっ。
一瞬にして白くなったぞ。
「ナ、ナルトォ・・・・・・」
泣き声をあげるイノ。
少し心が痛まないこともないが、オレの覚悟はこんなもんじゃ崩れない。
「これは陰謀だ・・・俺とイノの仲を妬んだ奴の・・・・・・じゃなきゃシカマルが俺に逆らうはずが・・・」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ブチッ。
「「さっさと行ってこい!!」」
綱手様とハモッて蹴り飛ばし、イタチに引き渡す。
―――かくして、オレのナルイノ撲滅作戦は成功に終わった。
――――――――――――って思ったのにやっぱ最後は。(泣)
〜一ヵ月後〜
嗚呼、やっぱりちゃんと後先考えて行動するべきだった。
この自慢ではないが無駄に高性能な頭脳を使うべきはこういう場合のはずだ。
そしたらこんな―――透明人間も真っ青な包帯人間にならなくて済んだだろうに。
目の前に積まれた書類の山。山。山。
とにかく人使いの荒い五代目火影が不在の火影室。
その中央で書類に埋れる3人の影。
うち1人は(オレだ、オレ)黙々と机と睨めっこしているが、2人は横でイチャついている。
どうしようもなく既視感を感じるのはきっと気のせいではないはずだ。
そして―――・・・
「ナールトv ここわかんなぁいvvv」
きたよきたよきたよ・・・・・・
「イーノv 面倒事はぜ〜んぶシカ野郎がやってくれるからなvvv」
「そうねv ・・・・・・頼むわよシカ野郎vvv」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
そしてまた、目の前に積まれる書類の山。(58cm)
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ワカリマシタ(号泣)」
もう泣くしかない。マジで。
オレは茶を淹れたり肩をもんだりしながらただひたすらに機嫌を取り続ける。
某組織のように、壊滅状態にならなかっただけマシ。
ああもう、突っ走ってくれ二人の道を。アーメン。
ナルイノ撲滅作戦なんざ、二度とやらねェ。
戻る
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ぐはっ。(吐血)
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