悲劇。
killing doll 〜insane love〜
赤い雲模様の外套に、指輪。
これらを証とする組織に“彼”はいた。
「―――おはよう、ナルト」
「おはようございますナルト君」
「おーおはよ、イタチに鬼鮫!!」
長い黒髪の青年と鮫のような人間にそう挨拶をされれば、
無垢な笑顔とともに返す金髪碧眼の少年。
「おはよ、うん」
「・・・よく眠れたか」
などと他の人間に話し掛けられるたび、少年―――
うずまきナルトは笑顔で「おはよう」と言う。
ここは、“暁”という組織の集会場。
「―――ぅし、今日も“人柱力”探しがんばろーぜ!!」
彼らは家族だった。血縁関係は無くとも。
ナルトは物心つく以前から“暁”にいた。
言語・教養・忍術・体術―――全て組織の人間に教え込まれた。
主には、うちはイタチという青年によって。
彼らの目的は“人柱力”を探し出すことであり、
―――ナルトもそのうちの一人であった。
だから彼は知らない。
“暁”の存在の意味を。目的を。
大切にされている己と違い、他の“人柱力”が辿る運命を。
『“人柱力”を探すのは、封印されている妖魔を取り出し、本人を救う為』
・・・・・・そう、聞かされていたから。
ナルトは幸せだった。“世界”を知らずとも。
「・・・・・・ナルト」
「イタチ・・・」
―――何度口付けを交わしたか。
何度身体を重ねたか。
何度・・・その名を紡いでは空気に溶かしたか。
ナルトと、イタチ。
彼らは恋人―――否、『愛し合って』いた。
“恋人”という定義に縛られず、
“家族”という枠に囚われず、
“友愛”という一線をこえて。
「イタチ・・・・・・」
「ん?なんだ」
「早く―――早く、“人柱力”が見つかるといいな。
俺も“人柱力”だからわかるんだ。胎内にある壮絶な気配・・・
満月のたび襲う腹を喰い破られそうな冷たい感覚・・・・・・
俺は大切にしてもらってるけど、普通はひどい目に会ってるらしいし・・・。
早く、その人たちを救い出してあげたい」
「・・・・・・・・・・・・」
ナルトは、優しい。そして純粋だ。誰よりも。
「イタチもそう思うだろ?」
「・・・・・・・・・そうだな」
イタチは、嘘を吐く。
他のメンバー達も嘘を吐く。
ナルトのこのような柔らかな微笑を見たいから。
失いたくないから。
暁という名の籠に入れて。
外に出ることなど願わぬよう、世界の広さなど知らぬよう。
甘く柔らかな枷と抱擁で、少年を縛る。
「イタチ・・・大好きだよ」
「・・・・・・ああ・・・俺も 愛してるよ」
そして落とす口付けの、隠れた思いはinsane love。
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insane love。狂った愛。歪んだ愛。至上の愛。
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