砂隠れの里の外、砂漠の中心にある数少ないオアシス。
その中心にある湖の淵で、彼は己の顔にパシャリと水をかけた。
「・・・・・・・・・」
ここちよい冷たさは肌にこびりついた砂を溶け落としてゆく。
「―――“暁”、か」
我愛羅は呟いた。
思い出されるは先の火影の話。
自分は彼の組織に狙われている。
(知ってはいたが・・・他人から聞くと実感が違うな)
とはいえ、さほど心配しているわけでもない。
今のところ周りに不穏な動きはないし、腕にも覚えはある。
そんなことより、今気になるのは。
(“木の葉の狂気”が暁にいたとは―――)
またの名を、金色の狂気とも呼ばれる九尾の器。
木の葉地下深く14年の長きに渡り幽閉され、言語すら持たぬ哀れな子。
―――と、思っていた。
しかし実際は違った。
彼の女傑が言うに、彼は昔“暁”に攫われ、今も尚そこに居るという。
何度も何度も刺客を送り奪回を図ったが、とうとうそれは叶わず現在に至る。
しかも。
(至極自由に暮らしている、だと?)
木の葉の暗部が過去に一度、彼と思しき金髪の少年を目撃したという。
彼は、“暁”の面々の傍で笑っていた、 と。
(・・・・・・俺は何を考えている?)
己と同じ妖魔憑き。
辿った運命はよく似た物。
今でさえ認められ風影という存在に上り詰めたが、
幼き頃に受けた侮蔑と畏怖は忘れ難い。
生まれてすぐ己と同じく悲惨な運命をその身に受け、
しかし間もなく里という枷から逃れ得た彼。
(嫉妬しているのか、俺は)
らしくもない。浅はかな思いだ。
彼が本当に“暁”で幸せに暮らしているかなど、定かではない。
だが―――
同じ運命を持ちながら、己だけが迫害されるというのはどうにも認めがたい。
彼モ自分ト同ジヨウニ苦シンデイレバイイノニ―――
願ってしまうのは、己の業か人間の性か。
+ + + +
(!!・・・・・・誰かいる)
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