俺が好きなら本気で来い! 3
    〜燃えろ!萌えろ!耳年増達の仁義無き闘い(一人勝ち)〜










「ナルトが私たちに靡かないのはゲイだからよ!!」


「そうね!やって来たスレナル時代!・・・その相手が男だなんて!!」



・・・・・・上から山中イノ、春野サクラ。
2人は先程から壮絶なまでに激しい討論を繰り返している。
彼女達は前回の事件(「俺が好きなら本気で来い!2」を参照)にもめげず、
某写輪眼系下忍のことなど脳内抹殺してフォーリンラブした、愛しの彼を追っていた。


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ナルト君は・・・げ、ゲイじゃないと思うよ・・・」


消え入りそうなほどに小さく控え目な声―――日向ヒナタだ。
余りにも堂々と(ここは喫茶店)「ゲイ」という単語を発する2人に引いている。


「じゃぁ何!?両刀っ!!?「余計に厄介じゃないのー!!」


くわっ、と凄まじい形相で睨み付けられれば、誰だって逃げ出したくなる。
下忍にあるまじき殺気にヒナタは既に失神しそう・・・・・・いやむしろ失神して解放されたい。
つーかもう少しTPOをわきまえてくれ。頼むから。


「・・・りょ、両刀って・・・・・・」


両刀。
男でも女でもオッケーな人。

深窓の令嬢(?)であるヒナタは頭痛がしてきた。


「―――とにかく!ナルトはきちんとノーマルに女を好きになるべきよ!!」
「賛成だわ・・・・・・あんな野郎連中には渡せない!!」


そこは同感だ。
小さく頷くと、2人は「「なら!」」とハモッて肩を掴んできた。


「まず確認するのはナルトが本当にうちはイタチを好きなのか、ということね」
「そうねー・・・とりあえず直接聞いてみましょ」
「ヒナタ!!白眼で探せるっ!?」

「う・・・うん」


迫力負け。
ヒナタは大人しく白眼を発動する。

―――ほどなくして、火影邸の屋根で昼寝をしている彼を見つけた。


「よしっ!じゃ行くわよ2人とも!!」
「ちょっとサクラ、しきってんじゃないわよー・・・・・・まぁとにかく」




「「ナルトをゲイから更生させてみせる!!!」」


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ナルト君この破天荒自己中下忍Sから逃げて・・・・・・・・・」




微妙にキャラと違うことを呟いているが仕方が無い。
これから彼に降りかかるであろう、不幸を想像するとヒナタはひたすら泣きたかった。








mission1:ナルトの本心を聞きだせ!



出来るだけ、気配を消して近づいたつもりではあったが。
3人が必死に火影邸の屋根へよじ登ると、そこには半眼で自分達を見下ろす彼の姿。
こんな動作でもこの上なくサマになっている。


「・・・―――何しにきたわけ?呼んでないんだけど?」
「そ、そんな言い方ないじゃないっ!!」
「いや・・・だってお前とイノがひっつくとろくなことねぇし」
「ヒナタはいいのー!?」
「うん。大人しいから」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
やや殺気のこもった視線が向けられているような―――気のせいだろう。
ヒナタは極力目を合わせないように、早急に終わらせる為単刀直入に質問する。


「あの・・・ナルト君、ごめんね、お、お昼寝の邪魔して。
 ・・・・・・えっと・・・その、訊きたいことが、あって・・・・・・あのっ・・・」


はらはらと、自分を見守る同期の女の子達。

『ナルト君は、本当に心からうちはイタチさんが好きなの?』

―――こう、訊こうとしたのに。
好きな彼を前に緊張してしまったのか、聞く内容が恥ずかしかったのか。
はたまた、微妙な怒りを感じているせいであるのか。



「あの・・・ナルト君、はっ―――・・・げっ、ゲイなの?



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

嗚呼、ごめんなさいお父様お母様。
このような不躾な娘に育った自分をお許しください。

イノとサクラの「やっちゃった・・・」と蒼白する顔。
そしてナルトの珍獣でも見たかのような驚いた顔。

そのこの上なく整った顔が引き攣り始めるのを見届けた後、
ヒナタは限界を超えた速さで屋根から降り、遥か彼方へと逃げていった。








mission2:認識を改めるべし。



「ゲイ・・・ゲイ・・・ゲイは美味しい・・・・・・あれ?虫の名前だったかな・・・・・・シノ君に聞いてみよう」

木の葉公園の片隅に。
許可無く新種のキノコを栽培しつつ。
錯乱中のヒナタは23匹目となるアリんこ潰しを行っていた。
気まぐれに巣の前へ栽培すれば、食べたアリは酔っ払いのようになっている。
もしかしたらこのキノコ、マジックマッシュルームとして売れるかもしれない。

―――と、そこに。


「「ヒナターーーっ!!」」





+  +  +  +





息を切らして駆け寄るイノとサクラ。
心なしか先程よりもヒナタに対し、長めに間をとっている。

「び、びっくりしたわよーヒナタ・・・こんなに足速かったっけ??」
「っていうかヒナタが・・・あんな質問を―――・・・」
「しっ!!忘れるのよサクラ!!」

必死に先程のことを忘れようとしている2人。
だが今のヒナタにはそんな努力は全くもって無意味だ。


「え?ゲイは美味しいものなんでしょ??」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
一瞬、硬直する2人。


「・・・・・・・・は?いや確かに乙女としてはオイシイけどっ!!」
「そうそう、でも諦めちゃダメよ!!さ、もう一回ナルトのところへ行きましょ!!」


「ダメだよ・・・私今からシノ君とゲイっていう虫を探しに―――」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
既に末期症状のようだ。
これには2人も参ってしまったのか、ひそひそと相談をする。


『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ダメね・・・相当キテるわ。あんなこと言っちゃ・・・・・・』
『でもナルトのことだから・・・私たちだけじゃ絶対近づかせてくれないわよー』


それはマズい。
非常にマズい。
ヒナタを利用して近づこうなどというつもりは全く無いのだが、
恋する女の子としてはできるだけのことをやりたいのだ。
たとえライバルだとしても、恋の成就のためには時に協力も必要。




「煩いよ・・・私はずっとナルト君を好きだったんだから・・・」




「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・は?(汗)」」





―――今。聞こえたのは。
本当にあの同期の女の子の声だろうか。

恐る恐る様子を伺えば、・・・・・・――――――ヒナタが気絶。



「「ひっ、ヒナターーーーーッ!!?」」




元から白い目が更に白目を剥くと、2人はただただ絶叫した。






+  +  +  +






「ん・・・・・・ここ、は・・・・・・・・・?」


目が覚ますと、セオリー通りの白い天井白い壁。
と 思いきや・・・・・・ここはどうやら火影邸のようだ。
コンコン、とノックの音が響いて、現火影たる綱手が入ってくる。


「―――目が覚めたかい、ヒナタ」
「綱手・・・様?あの―――・・・」
「アンタが倒れたと聞いてね―――二人とも入っておいで!!」

「「ヒナタ・・・・・・」」


遠慮がちに、姿を表すイノとサクラ。
―――そして思い出す。

自分は、公園で何かを言った後倒れたのだ。


「イノちゃん・・・サクラちゃん・・・・・・」
「だ、大丈夫なのー?」
「ヒナタ・・・ごめんね、もしかして具合悪かったとか?」
「う、ううん・・・多分・・・走りすぎちゃったから・・・・・・」

限界を超えた全力疾走。
それをせざるをえなくなった原因は―――・・・思い出したくもない。
綱手が出て行くのを見計らい、ヒナタは戸惑いがちに切り出す。


「私―――・・・バカ、だよね。あんなこと、言っちゃって・・・・・・」
「ヒナタ・・・・・・」
「だ、大丈夫よ!!ナルトはあんなの気にしないって!」
「そうよーヒナタ」
「うん・・・ありがとう・・・・・・だけど」


だけど。

倒れる寸前、―――ヒナタは疑心を確信に変えた。
思えば、以前(「俺が好きなら本気で来い!」)にもあったことなのだ。

そして今自覚する。




「―――私は、絶対譲らないからね?」




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・己の性格の表裏を。

蒼白する2人を見るのが愉快だと思ってしまう自分は、ひょっとしてサ○?
だがそんなことはどうでもいい。譲れない。
後になって彼の魅力に気付いた2人には絶対に。


驚かさぬよう、消さずに来てくれた彼の気配と優しさを感じると、
ヒナタは硬直している2人を問答無用でクローゼットの中へと押し込んだ。




「・・・・・・声。出さないで、ね?」




ナルトなら一瞬で―――というより既に2人にも気付いているだろうが。
きっと考えはしても口には出さないだろうと予測をしたヒナタは、
持ち前の聡明さでもって、牽制のためにもここに居てもらおうと考えたのだ。


ブンブンと、首を縦に振る2人の様子に、ヒナタは満足げに頷いた。






+  +  +  +






《さっ、サクラ!!何とかしなさいよー!!!》
《無理言うんじゃないわよ!!とにかく我慢よ我慢!!!》


持ち前の根性と、生命の危機に由来する火事場のクソ力。

それらを無意識にフル活用し、2人は上忍レベルの会話法を行っていた。
無論習ったことなど無い。会話法というより気合の意思疎通だ。
だがヒナタにあんな恐ろしい声で声を出すなと言われれば、誰でも出来るだろう。

―――クローゼットの中は、暑かった。

何しろそれ自体1人暮らしの人間が使うような小さなものである。
そんな中に2人の人間が詰め込まれれば、暑苦しいのは当然で。
・・・・・・しかも、今は初夏。
夏真っ盛りでないだけマシだが、もしそうだったら脱水症状で死んでいる。


その上。


ヒナタとナルトの会話が聞こえてくるのだからたまらない。
―――いや、それだけなら別にかまわない。
いいムードだとか、そういうワケではないのだから。

ただ。


・・・・・・この上ない殺意がわいてくるのだ。


ヒナタが、『普段通り』の話し方をしているから。



《私は“ヒナタ”という人間の認識を変えるわっ・・・・・・!》
《同感よー・・・でもサクラ逆らえる?アレに?》
《・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・無理。(泣)》



―――耐えるしかなかった。






+  +  +  +







mission3:想いを伝え、受け入れる。



「ヒナタ・・・・・・倒れたって聞いたんだけど。大丈夫か?」
「な、ナルト君・・・私は、大丈夫だよ。ありがとう、し、心配してくれて」
「いや。気にすんな」


とりあえずは、普通の会話。
だがナルトには微妙に気になることがあった―――クローゼットの中身だ。
何故サクラとイノが詰まっているのか・・・さっぱり分からない。
訊こうとするが、視線を向けるとヒナタの空気が変わるのでやめておく。

今は、“アレ”のことを訊くことの方が優先順位が高い。


「あのさ、ヒナタ。さっきの・・・・・・げ、ゲイだとかなんとかっつーのは―――」
「ぁ・・・・・・・・・あ・・・アレは」


泣きそうな顔をするヒナタ。
自分の失言が恥ずかしくて仕方がないようだ。
ナルトは珍しく冷や汗をかく―――他の女の涙など、気にもならないが。
ヒナタの場合は守ってやりたくなる(?)ような雰囲気のせいか、
泣かせてしまうことの罪の重さが、格段に違うような気がしてしまう。


「わ・・・私、ね。本当はこう訊きたかったの」
「・・・・・・何?遠慮なく言えよ」

ためらうヒナタ。
もう一度続きを促してやると、意を決したように口を開く。



「・・・・・・ナルト君は、本当にイタチさんのことが好きなの?」



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

沈黙。
気まずくはないが心地良くもない。

ナルトは意外な質問の内容に驚きつつも、逆に訊いてみる。


「―――なんで、そんなこと訊くんだ?」


すると、先程よりも更に泣きそうな表情で返ってきた。
慌てて取り繕うが、驚いたことにヒナタは視線を真っ直ぐコチラに向けてきた。





「ナルト君のことが好きだからだよ」





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

真っ直ぐと。
視線は逸らさない。
言葉も詰まらない。
こんな彼女は初めてだ。


「―――多分、気付いてたとは思う。ナルト君鋭いから・・・」
「・・・・・・・・・ああ」


気付かないはずがない。
あれほど自分を見ている人間の想いに。


「お前合同任務の時しょっちゅう俺の方見てたからな」
「ご、ごめんね・・・迷惑だったかな」

「いや、そんなことねぇよ―――・・・ただ」


あれだけ見ていたなら。



「―――俺を見ていたお前だからこそ、わかるはずだ。気付いたはずだ」



本心に。



「だから質問の答えは―――・・・いらないだろ」

「・・・・・・・・・うん。そうだね」




素直にそう答えて涙を流す彼女は、充分に魅力的だと思う。
だから自分などを選ばず、もっと別の相応しい人間を探すべきだ。



ナルトはやわらかに微笑むと、音もなく部屋から姿を消した。







+  +  +  +







final mission:更に認識を改めるべし。



「「ヒナタ・・・・・・」」

ナルトが居なくなったのを見計らい、二人は蒸しクローゼット地獄から脱出した。
つい先程まではいかにしてリスクを減らし復讐するか考えていたが、
あんな会話をその場で聞いてしまっては、復讐どころか同情すらしたくなる。
ナルトの答えを予測するに、自分達も失恋したことになるのだが―――・・・
ダメージがまるで違う。ダメージが。

俯き、泣いているヒナタ。
イノはそっとその細い肩に手を置き、慰めようとする。


「ひ、ヒナタ?大丈夫よ、私たち失恋なんてしょっちゅうだったしー」
「そうよヒナタ!!また次があるじゃない、次が!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


返事は無い。
2人は困ったように顔を見合わせ、ヒナタの顔を覗き込む。



「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・え"?」」



―――泣いて   いない。

それどころか―――・・・彼女の顔に浮かぶのは。




「「ッッッツ〜〜〜〜ッ!!!???」」



笑顔・・・・・・真っ黒な、とにかく真っ黒な笑顔だった。
2人が一瞬にして壁際まであとずさったのは言うまでもない。



「「ひひひひひひひひひヒナタさん!!!!??」



ガタガタと。
イノとサクラは互いの肩を抱き合い身を寄せる。





「―――ねぇイノちゃん、サクラちゃん」

「「はひぃぃっ!!?」」


起立。硬直。



「私がいつ、失恋したの?返事は貰ってないよ?」

「「〜〜〜〜〜っ!!!」」


ンな無茶苦茶な。屁理屈だ。



「ちょっとくらい障害があった方が面白いしね?それに」

「「・・・・・・・・・!?」」


それに?まだあるのか?






「私、呪術のやり方教わったんだv」

「「・・・・・・・・・・・・!!!(号泣)」」














































ナルトへの嘆願書

私たちを助けてください。
もうナルトを追いかけたりなんてしませんから。
これからは目の保養だけに留めますから。
お願いですから私たちの命を救ってください。
止められるのはこの世で貴方だけです。
止めて欲しいのは彼女です。名は・・・・・・(血痕で読めない)





































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翆様、リクエストありがとうございました。
遅くなってすみません(汗
キレたヒナタを書くのは楽しいなぁ・・・vv
ていうかコレじゃ争奪戦じゃないですね( ̄▽ ̄;)
最後の前の場面は割りにシリアスに・・・・・・?

それにしてもゲイゲイゲイゲイうるせぇ(殴
「ゲイ」って「ホモ」よりエロくない?
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