お前が俺の前に現れたことは必然だとは思わない。
“運命”だななんて甘ったるい妄想をするつもりもない。
―――でもさ。
俺、本気でお前に会えて良かったって思ってるんだよ。
俺はあの人に似たお前の色が大好きなんだ―――・・・・・・
Position ---Aの中でのBの位置---
「ヤベェ・・・殺してぇ・・・」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
桜の木の上で気だるげに足を組み、世にも物騒なことを呟いた人物が一人。
神々しいまでの金の髪に、ぬけるような青の瞳を持つ可愛らしい少年。
まさに春爛漫といった感じの暖かなこの日、満開の桜が静かに花弁を散らすこの風景、
しかもこんな少年にはおよそ似つかわしくない台詞だった。
「ったく・・・何やってんだ俺・・・・・・」
大きく溜息をついて見やるのは、美しい桜の群れの下でうるさく騒ぐ四人の大人と子供―――
その中心の、彼と全く同じ容姿に全く違う雰囲気を持つ子供。
つまるところ、お遊びでしかない任務へかわりに行かせた彼の影分身だ。
他の三人―――スリーマンセルの担当上忍と、同期の下忍二人はそれに気づいた様子もなく、
ただひたすらに楽しく平和に任務をこなしている。
(相変わらずカカシはウザいしキモいしシツコイし・・・・・・。
サスケは思い上がりでサクラはジコチュー。
全くいい加減嫌になるぜ・・・・・・もう帰って寝ようかな)
と、足音一つさせず木から飛び降り、少年―――うずまきナルトはその場から去った。
(何かオモシロイことねーかなぁ・・・・・・暗殺任務とかじゃなくて)
またしても物騒なことを考え出したナルト。
現在彼は目にもとまらぬ速さで森の中を走っていた。
バカでドベで意外性とヤル気だけはNo.1の普段の彼からは想像もつかない速さで。
(ジジィだましてまた禁術書でも持ち出すか?)
「ジジィ」とはここ木の葉の里の長にして最強の忍。
だが実際、彼にとっては簡単なことであった。
5歳でエリート集団の暗部へ入隊し、里一番の力を持つ彼には。
度重なる暗殺者の襲撃で強くならざるを得なかった彼には。
“禁忌”を腹に宿し、その力を自由に引き出し使う彼には―――・・・・・・。
(“煉”・・・・・・何かナイ?)
《―――お前はいつも退屈しているな》
今ナルトの心の声に答えたのはまさにその“禁忌”。
いったい誰が気づけると言うのだろう?
“禁忌”が“禁忌の子供”を愛しているという事実に。
(だってしょーがナイじゃん。・・・・・・と、着いた着いた)
随分と森の深いところで足を止め、素早く印を切ると現れたのは豪華な屋敷。
オンボロアパートとは違う、彼の“本宅”であった。
《むぅ・・・。ならば、また妖術を教えてやろうか?》
「マジ!? 煉愛してる!!」
《それはどうも》
サラリとしたナルトの爆弾発言を、煉―――大妖九尾の狐もサラリと受け流す。
玄関で靴をぬいでいると―――・・・・・・
「!?」
目の前に飛び込んできたのは、自然の脅威“プラズマ”だった。
+ + + +
「ジェ・イ・クv」
「・・・・・・・・・。 カオル、いい加減気配を消して近づくのは止めなさい」
えらく艶のある女の声に答えたのは、腹に響くドスの効いた声だった。
知らない者が聞いたら夢に出てきそうなほどに恐ろしい。
「それと“香り”もおさえてくれ・・・キミのは強すぎるから妙な気がおきそうだ」
「あら・・・私はそれで構わないわよ、我が愛しのジェイク=リーガスv」
「―――研究の邪魔だ、背にへばりつくのは止めなさい。それに明日は暗殺の仕事だろう?」
「・・・・・・わかったわよ」
しぶしぶ女―――“カオル”はジェイクの背から離れ、隅にあるグランドピアノへ向かった。
美しいという言葉では形容しきれない音楽が辺りに響く。
ここはジェイク=リーガスのラボであり、部屋は散らかっていて薄暗い。
明かりは小さな蛍光灯と、彼が先ほどから睨めっこしているノートパソコンの液晶の光のみ。
はっきり言って、異質だ。グランドピアノも、ネグリジェ姿のカオルも。
だが美しい。静かに響く曲も、それをうみだす彼女も。
「―――綺麗な曲だな・・・キミが書いたのか?」
「ええ。最近はコレしかやることがないもの」
「・・・・・・そうか」
対照的に、ジェイクは醜かった。見事な馬顔だ。そしてデカい。
しばらく沈黙が流れ、“しばらく”が“長時間”へ変わっていく。
いい加減カオルがピアノを弾くのにも飽きた頃―――
「―――できた! プログラムが完成したぞカオル!」
「良かったわね」
「・・・・・・・・・冷たいな。これで異世界へ行けるかもしれないんだぞ!?
理論上では完璧なんだ・・・・・・科学が魔術を超える!」
「へぇ、異世界!?」
「そうだよカオル! あとはこれを機械へ組み込んで実験を重ねていけば・・・・・・。
あぁでも本当に移動できたのか確認する方法は・・・・・・」
「・・・・・・」
またジェイクの癖が始まった。一度考え出すと止まらなくなる。
だがカオルはこの男、育ての親にして恋人であるジェイク=リーガスのことを誰より理解していた。
こういう時は、静かに静かに呪文を唱え―――・・・・・・
「――― Destroy」
「ぐはぁっ!?」
全身の骨がきしんで無様に崩れ落ちるジェイク。
彼を見るカオルの目がどこか冷たく見えるのは気のせいか。
「カ、カオル・・・! いくらなんでも禁術を使うこたないだろう!?」
「これくらいしなきゃ止まらないんだもの。―――ねぇ、それよりも」
“香り”が一段と強くなる。
これにはジェイクもたまらなかったのか、声を詰まらせ、
「わ、わかったよ。―――ベッドへおいで、我が愛しのカオル=クルビュート」
そう言って、ジェイクはカオルの長い血色の髪に口付けた。
ジェイクは気づいていない。カオルの企みに。
異世界へと渡れる(かもしれない)装置が完成したその日、
小躍りしているジェイクが装置の前で見たものはたった一行の置手紙。
『異世界を楽しんできます。上にはなんとか言っておいてねv』
○△×#$□&%〜〜〜〜!?
彼女の部屋へ急行すれば、案の定愛用の武器類やコート・黒しかなかった服はごっそりと消え。
中央にある小さなテーブルの上にはまたしても置手紙。
『私がいない間寂しいだろうから、遠慮しないで女遊びしてね。
ストレスの素だからためちゃだめよv P.S.コンドームはタンスの2段目。』
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
あとはもう、怒りと嘆きの咆哮のみ。
+ + + +
「・・・・・・なんだぁッ!?」
《気をつけろ、ナルト!》
「んなこたぁわかってるけどっ!!」
バチバチバチッ! バチッ・・・バチチッ・・・・・・
普段の素のナルトではありえないほどの慌てよう。
だが無理もない。
今彼の前では、何故かプラズマが発生しているのだから。
誰かがこの家に入り込んできたはずはないし、こんなトラップは仕掛けてはいない。
何よりチャクラが使われている気配が全くない。
「ぬおっ!?」
思わず間抜けな叫び声を上げる。
目の前には・・・・・・
「あ・・・足っ!?」
そう、足。人間の足。多分女の。
いつの間にやら空間に亀裂が生じ、そこから足がはえている。(めちゃめちゃ怖い)
亀裂はだんだん広がっていき、もう片方の足が出てきて今度は腰が・・・・・・
「ひぃぃいいいいっ!?」
ヤバい。怖い。逃げたい。
誰かこの悪夢から救い出してくれ。
いったい自分が何をした!?(いろいろやってます)
「頼むから帰れっ! お前のあるべき場所にっ!!」
《落ち着けナルト! 術ではないようだからな・・・・・・様子を見よう》
「―――お、おう」
それを聞いてようやく冷静さを取り戻したナルト。
そうこうしている間にも亀裂はさらに巨大化し、ついに全部出てきた。(産まれた?)
少しの間“ソレ”は浮いていたが、やがて重力に従って落下した。
とにもかくにも、“ソレ”は人間のようだ。
「お、女・・・・・・?」
床に落ちたままピクリともしない“ソレ”に、ナルトは恐る恐る近づいていく。
黒いコートに黒いインナー、黒いパンツが女性にしては長身の肢体を包んでいる。
極め付けに黒い巨大なバッグ。・・・・・・めちゃめちゃ悪趣味だ。
見事なまでに血の色をした長髪に一瞬戸惑うが、そっとその髪を掻き揚げてやる。
「・・・・・・ッ!」
息をのんだ。
不健康ではないが新雪のように白い肌に、バラ色の唇。
気絶しているためその双眸は閉じられているが、それでもその美しさを損なうことはない。
いったいどのような色をしているのだろうと、ナルトは柄にもなく想像する。
「ど、どうしよ煉・・・・・・」
《むぅ・・・・・・っ、起きるぞ!》
「!!」
「ん・・・・・・ここは・・・・・・」
声もいい―――と、そんな場合ではなかった。
「おい、アンタ・・・」
「ッ!?」
「なんっ―――!?」
女は目を覚ましたかと思うと、凄まじい勢いで飛び起きた。
そのまま目にもとまらぬ速さで長いコートの懐へ左手を突っ込む。
(暗器かっ!?)
ナルトは持ち前の反射神経で後ろに飛ぶ・・・・・・が、ここは玄関。すぐに戸にぶつかってしまう。
そして女が取り出したのは何やら金属の塊らしきもの。
瞬間、背に悪寒が走って衝動的に体を右にそらす。
爆音がしたかと思えば顔のすぐ左横に小さな穴が開いていた。
(ウソだろ・・・・・・鋼鉄製の引き戸だぜ!?)
内心かなり慌てたがそれは顔には出さない。
やられっぱなしではダメだと今度は放り出してあった靴をつかんで投げつける。
そのころには女も少し距離をとっていたが、急なことに驚いたのだろう。
ほんの一瞬隙が生まれた。
「ッ・・・クソがぁっ!!!」
瞬時に女の後ろへ回りこみ、ワケのわからない金属を持っている左手を後ろへ捻り上げた。
そしてそのまま腕を折ろうとさらに力をこめるが―――できない。
この体勢で見事なまでに抵抗されている。細い体に反して凄まじい力と柔軟性だ。
ナルトはチッと短く舌打ちし、振りほどかれる前に後頭部をつかんで床へ押し付けた。
そしてクナイを首筋にあてがうと、ようやく女の抵抗が止まる。
「―――ッハァ、ハァ・・・・・・何者だ、お前!」
「・・・・・・・・・」
低く殺気を込めた声で問うても返事はない。
恐怖で固まっているというよりも、何かに驚いて呆然としているようだ。
小さく何か呟いているが、異国の者なのだろうか、何を言っているのかわからない。
だが女は気を取り直し、またしてもワケのわからない言葉を呟いた。
「答えろ! お前は俺を殺しにきた暗殺者か!? どうやってこの家に入った!」
「・・・・・・・・・ウソ・・・・・・本当に私・・・来ちゃった?」
「何を言っている?俺の質問に答えろ!」
何度問うてもまともな返事はないが、何故か今度は言葉が通じる。
しかし女はぼそぼそと独り言を呟くだけだ。
自分を殺しにきたのではないのか?
「・・・・・・ていうか・・・この体勢はマズいわよね・・・・・・」
「ッ!?」
視界が反転する。
またしても凄まじい力で反撃され、今度はナルトが床に押し倒される。
だがもうあのワケのわからない金属を向けてくることは無かった。
「え!? 男・・・・・・の子・・・・・・!? 信じられない!」
「・・・・・・?」
女は本気で驚いているようだ。
ナルトは嘘を見抜くことに長けているから、それくらいは分かる。
全身黒ずくめの怪しい格好に、危険な金属の武器。
そして何より出現の仕方からしておかしかった。
こんな不利な体勢にも拘わらず、ナルトはぼんやりと、この女の目は綺麗な金色だ、と思った。
「アンタいったい・・・誰・・・・・・? つーか殺す気無いなら離してくれない?」
「え―――あぁ、ごめんなさい。今離すわ」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
とりあえず危機は去ったが―――・・・
「で、アンタ誰。そのヘンな金属何。つーかどうやって俺の家に入った」
「えーと私の名前はカオル=クルビュートでこれは拳銃。知らない?
で、どうやってアナタの家―――大きいわね―――に入ったかといえば・・・・・・」
「いえば?」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・要するに、時空移動?」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
「はいぃ?」
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始まっちまったマジでありえないpositionシリーズ本編。
本編で各キャラが定義づけられていくだけに、
これがある程度進まないと他の話が書けない;;;
初小説なだけに文章が拙いっすね・・・・・・(滝汗)
感想いただけると死ぬほど喜びます。
長くなると思いますが諦めずに読んでやってください〜!!
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