「―――と、いうワケでカカシさん。別れましょう」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はい?」
「聞こえませんでしたか?私と別れて下さい」
「―――何故?」

何度目かになるベッド上でのお付き合いを終えた朝、
カカシが言われた言葉はそれだった。

「飽きたので」
「・・・・・・」
「ウソです。 時間稼ぎです。本命を見つけるまでの」
「時間稼ぎ・・・?」

(なんだこのアマ・・・俺からこっ酷くフッてやろうと思ってたのに)

「そう。ナルト君に相応しい相手―――「本命」が見つかるまでの、ね」
「・・・・・・! 知ってたんですか、俺の企みを?」
「もちろんv 貴方に取られる訳にはいかなかったんですよ。
 ・・・・・・と言いたいところなんですが―――」
「?」
「じきにナルト君の精神状態に隙ができます。
 それを逃せば・・・・・・二度と彼が貴方の手に落ちることはありません」
「どういうことだ・・・!?」

ワケがわからない。
目の前の女は何をどこまで知っているというのだ?

「言葉どおりですよ・・・・・・さようなら、女狐に騙されるのも悪くは無かったでしょう」
「ちょっ・・・おいっ!!」

―――バタン。
少し音をたてて扉がしまった。

(何なんだ・・・いったいあの女は何なんだ!?)


+  +  +  +


「ナルト君・・・私カカシさんと別れちゃった」
「あっほう」
「ええ」
「ぅごふぉっ!?・・・ゴホッゲホホッ!!」
「ちょっと、歯磨き粉飲んじゃダメじゃない」

現在ナルトは歯磨き中。
「あっほう」は「あっそう」であって「阿呆」ではない。

「おまっ・・・つい最近付き合い出したばっかじゃねーか!!」
「だって。時間稼ぎの必要が無くなったから」
「・・・・・・! ふ〜ん?「本命」とやらが見つかったのか?
 俺の相手ならよほどの人間じゃないとダメだぜ??」

ニヤリと口角を上げる。
最近はカオルの教育(!?)のかいあってか、
ナルトも自分が他人の目にどう映るのかがわかってきたらしい。

「うちはイタチ君」
「あぁそう、ソイツうちはイタチって言うの・・・・・・んだとぉ!?」
「だからうちはイタチ・・・・・・」
「―――ちょっとマテ」

幾分声を低くする。
この男の名が出てきたからには、ふざけているわけにはいかない。

「カオル・・・お前、俺とアイツの関係知ってたのか?」
「ええ。三代目と煉から聞いたわ」
「・・・・・・煉。てめぇ・・・また勝手に抜け出したな?」
《・・・・・・・・・》

ダンマリ。卑怯だ。
この狐は時たま勝手にナルトの体から抜け出すことがある。
大量の霊力を消費するらしいが、その間ナルトは強制的な眠りに入るので、
煉が何をしていようがまったく気づくことが出来ない。

「何で今アイツが出て来るんだよ・・・」
「里に近寄ってくる気配がしたから。気づかなかった?」
「俺はお前ほど人間離れしてねーんだよ。・・・・・・イタチ・・・何しにきたんだ?」
「アナタを攫いにきたのよ」
「・・・・・・!」

会いたいとは思っていた。
だが・・・何故もう少し早く来てくれなかったんだろうか。
今ではカオルや三代目と離れるのは少し寂しい。

「で? アイツ今どこに?」
「追い返した」
「は?」
「今アナタに会いに行っても無駄だと言って」
「・・・・・・良い判断だ・・・もう寝る」
「おやすみなさい」

(イタチ・・・くそっ!!)


+  +  +  +


自室のベッドの上。
一人で考え事がしたくて、煉は追い出してある。
今ごろカオルにセクハラでもしているのだろう。

(イタチ・・・イタチ!!)

先ほどはカオルに「良い判断だ」と言った。
けれど自分は本当にそう思ったのだろうか?
心のどこかで無理やりにでも攫って欲しかったと思っているのではないか?

(いや、そう思って当然なんだ・・・何故だ・・・何故俺は迷う)

イタチについて行って抜け忍になったとしても、
ナルトほどの実力があれば三代目やカオルに会いに来ることはできる。
それなのに何故自分は迷うのだろう。
二人以外の人間に未練など無いのに。

(俺は・・・この里を気に入っている? ―――ありえない。そんなことは・・・!)

(人間は嫌いだ・・・この里の人間は醜い・・・守ったのはジジィのためだ)

(イタチ・・・どうすればいい・・・?)

(お前が再び来てくれた時、俺はお前と共に行けるだろうか?)

(・・・・・・・・・)

(イタチ・・・この穴が開いたような喪失感は何だ? どうすれば埋められる?)


味わったことのない感覚は、容赦なくナルトを蝕んでいく。


+  +  +  +


「カオル・・・恐ろしいほどにお前の思い通りにことが進むなぁ?」
「少々の演出は必要でしょう? ・・・あの強情な子が心から幸せと思えるには」
「フッ・・・お主も俺もあの子供に毒されてしまったようだのう」
「そのようね」

カオルは笑う。
いつの間にか煉も協力してくれるようになった。
彼ほど心強い味方はいない。

「イタチ君の話を聞いたことで、あの子が無理やり押し込めていた気持ちが解放される。
 そうなれば求めるのは何か?・・・・・・偽りでもいい、「愛」を求めるでしょうね」
「だが何故よりによってはたけカカシなのだ? あの男は気に入らん」
「恋愛には多少の壁はつきものでしょう?あの人ほどの適任者はいないわ」
「むぅ・・・まぁ、お主が言うのならばそうなのだろうが」

言いながら、煉に口付けられた。
それに答えつつ、カオルは笑う。

「すでに土台は敷いてある・・・今のところ全て計画通り。
 ・・・ま、できるなら多少のイレギュラーがあると嬉しいけど?」
「いれぎゅらー・・・? お主だけは敵にまわしたくないな」
「フフ・・・数千年を生きた大妖怪の言葉とは思えないわね」

今度は押し倒される。
それに応えつつ、カオルは笑う。


(ナルト君・・・それでも選択するのはアナタよ・・・・・・考えなさい、若いうちは、ね)


BACK TOP NEXT


------------------------------------------------------------
少しカオル姉さんの名誉挽回??
妙な計画を立てるのはナルトに幸せになってほしいからなんです!
つーか煉との関係っていったい!??(笑)
背景は廃墟=喪失感・セピア色=思い出 ・・・みたいな。(死)
------------------------------------------------------------