「カオル・・・・・・俺はお前を好きになれば良かったと心底思う」
「―――ナルト・・・君?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・冗談だ」
長い沈黙の後、一言否定して去っていく彼はなんとも切なげだった。
+ + + +
「なぁカオル、お前はまだ俺を殺したいか?」
「―――は?」
「前に裏の任務に来た時。俺のこと殺したそうな顔してた」
「・・・・・・・・・バレてた?」
「当然。殺気は全然無かったからなんとも不思議だったぞ」
「・・・・・・」
「で、どうなんだ?」
先ほどの発言といいこの言葉といい。
何やら今日のナルトは異常に唐突で脈絡がない。
「別に・・・むしろ今は見守りたいって感じ? 小悪魔を子供に持った母親みたいな」
「・・・・・・・・・そうか」
「え?」
反論しないの、と。
軽く目を見開いて言ったら、ナルトはただただ微笑んだ。
「―――悪魔でも俺よりは扱いやすいだろうよ」
「・・・・・・・・・ナルト君」
「悪いな、変なこと聞いて」
「待ちなさいナルト君!」
「・・・・・・」
無視して外へ出て行くナルト。
普段なら絶対止めないのに、今日は何故だか声を荒げてしまった。
今からカカシのところへ行くのだろう、煉を追い出したのがわかった。
《・・・カオル、もう限界だ! 早くイタチに合図をしろ!!》
「―――まだだめよ」
《カオル!!》
「今彼を呼んだら・・・逆効果だから」
少しだけ、胸の奥が痛んだような気がした。
+ + + +
「どうしたのナルト、なんか元気ないね」
「え? 俺ってば別にいつもと同じだってばよ!」
「そう?」
いつものように、カカシの手料理を頬張るナルト。
演出におかずをこぼしてみたり。米粒を頬にくっつけてみたり。
極め付けに、手についたソースを軽く舐め取ってみたり。
「ゴチソウサマ、おいしかったってば!!」
「良かったね〜ナルトv」
「うん!!」
「・・・じゃ、お風呂入ろっか」
「う・・・うん」
少しだけ顔を赤くする。
そしてまた、いつものように夜のオツキアイが始まるのだ。
(ああ・・・今日は耐えられるのかな・・・・・・)
この男が情事の時にぶつけてくる、つぶれそうなほどに大きな想いの塊に。
「っ・・・・・・」
「・・・カシ・・・ンセッ・・・!」
熱い。
焼けるように。
溶けそうなほどに。
「ナルト・・・俺にはね、大切な人がいたんだよ・・・」
「え・・・?」
ああ、またかと。
この男はたまに理性を失うことがある。
ひょっとしたら故意なのかもしれないが―――・・・
「ナルトに良く似た・・・この里の英雄・・・本当に大切だった・・・」
「先生・・・?」
「誰より強くて、誰より優しくて、誰よりも綺麗な人だった・・・」
「・・・・・・」
「その人をね・・・奪われたんだ」
ぐっ と。
抱き締める手に力がこもる。
「―――お前に・・・九尾の狐に!!」
「・・・・・・っ」
キシキシと、骨が鳴った。
息が出来ない。
このままでは背骨が折れてしまいそうだ。
(また・・・記憶、消さないとな)
朦朧とした頭で考える。
カカシの爪が白い柔肌に食い込んで、血が滲んだ。
「ねぇ・・・これだけ愛してやったんだからさ、殺してもいいでショ?」
「・・・・・・」
今思えば、どうしてそう思ったのかわからない。
だけど・・・何故か衝動的に、ナルトはそう答えていた。
「じゃぁ殺して・・・・・・」
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時が
止まった と
本気で
思ったのは
多分
目の前の人のせい
「イタチ・・・・・・」
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自分はこの人の「大切」にはなれない。
けれどあの人の「大切」にはなれる。
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