里を出るのは簡単だった―――三代目が死に、未だ混乱していたから。
イタチを見つけるのも簡単だった―――何故かわからないけど。
「・・・・・・イタチ」
「ナルト・・・・・・」
鮫なのか人間なのかよくわからないやつが側に居たけど。
そんなのは全く気にせずに。
ただ、抱き合った。
+ + + +
「―――何をしに来た、カカシ?」
「・・・・・・ナルト・・・蓮・・・どっち?」
「どっちも俺だ」
「・・・・・・・・・」
深い森の中。
イタチと再会してから、数日がたった。
意外と早かったと思う。
目の前には、カカシ・アスマ・紅の三人と10名ほどの暗部達。
混乱している今、よくもこれだけの人数を割けたと感心する。
九尾が相手なら当然かもしれないが。
「ナルト・・・」
下がっていなさい、と。
後方に居る鬼鮫のほうに押しやられる。
だがナルトはそれをやんわりと拒否し、前に出た。
「ナルト・・・それが本当のお前なんだね?」
「そうだ、カカシ。・・・・・・ところで火影は決まったのか?」
「・・・? ああ、三忍の綱手様だよ」
「そうか・・・・・・」
決まったのか、と。
妙に感慨深げに・・・哀しげに呟いた。
「ナルト・・・木の葉へ帰ったほうがいいぞ」
「そうよ、ナルト。皆心配してるわ」
カカシから聞いたのだろう、雰囲気がまるで違うナルトを見ても驚かない。
アスマも紅も、本気で心配している様子だった。
「―――わかった。帰るよ」
「ナルト!?」
「ナルト君!?」
意外な言葉に、珍しくイタチが慌て、鬼鮫が混乱する。
カカシたちも驚いているようだ。
「悪いな、イタチ。―――本当は俺、お前に別れを告げにきたんだよ」
「・・・・・・!」
「次の火影が決まるまで・・・次の俺の主が決まるまで、お前の側に居ようと思った。
俺は、木の葉からは出て行かない。守ると決めたんだ・・・ジジィが愛したあの里を」
「ナルト・・・!!」
一歩、カカシ達の方へ踏み出す。
イタチと鬼鮫が止めようとするが振り払う。
これでいい。だけどその前に・・・・・・
―――ザシュッ!
驚異的なスピードで放たれたクナイが、二人を狙っていた暗部にとどめを刺した。
「アンタら、イタチに手を出すなら殺すぜ?」
真っ赤な面を取り出せば。
ほら、金色の闘神が舞い降りる。
+ + + +
(なんて・・・綺麗なんだろう)
カカシは思う。
目の前の闘神を見て。
暗部達が放つクナイはことごとく刀で弾かれ、
漆黒の抜け忍とついでに鮫のような人間に近づくものは、鋼糸で切断される。
血色の面から除く青い瞳はどこまでも冷えていた。
それでも、愛する者を守りたいという思いがひしひしと伝わってくる。
「これが・・・ナルト。切ないまでに熱く激しい獣・・・これがナルト」
人知れず、口にする。
カカシたち三人は手を出していなかった・・・呆然と、金色の闘神に見入っている。
イタチや鬼鮫すら、体を動かせずにいた。
また一人、死んだ。
鮮血が飛び散る。
闘神はあえてそれを避けることはせず、赤く染まっていく。
金色の柔らかな髪が靡き、それが血で汚れていくのが妙に官能的だ。
一人。また一人。
(こんなにも哀しく美しい生き物をつくったのは・・・つくってしまったのは、俺たち・・・・・・)
人知れず、涙する。
犯してしまった罪に。
自分がこの金色にしてしまった仕打ちに。
やがて、動くものは居なくなった。
生者も死者も、ただただ金色の闘神に見とれて。
+ + + +
「―――しまったな・・・味方殺しは大罪なのに」
沈黙を破ったのは、以外にも闘神その人だった。
場違いなほどに気楽な声に少々呆れる。
「やっぱ俺、イタチのことになると見境なるなくや・・・・・・死罪かな」
そんなことは―――・・・
「そんなことは、させないよナルト」
「・・・カカシ?」
「綱手様も馬鹿じゃない。あの程度の暗部10人より、“蓮”を取るさ」
「・・・・・・そうか。 じゃ、行こうぜ」
「ッ―――ナルト!!」
「・・・イタチ」
ごめん、と。
寂しげにナルトが微笑むと、その抜け忍は諦めたように溜息をついた。
「・・・帰るのか」
「うん。俺は、木の葉の忍だから」
「・・・・・・・・・」
「悪いね鬼鮫さん。そーゆーことだから、暁には行けない」
「え? あ・・・はぁ」
もう一度、ナルトは微笑む。
そしてゆっくりと、うちはイタチの元へと歩き出した。
「ナルッ・・・!」
「カカシ!」
止めようとしたが、逆にアスマと紅に止められた。
これは自分達が介入していいものではないのだと。
わかってはいるが、悔しくもある。
どうやら自分は本気でこの金色の子供を愛してしまったらしい。
『イタチ―――・・・・・・』
金色は何かを漆黒に呟いて、自分達の元へと帰ってくる。
その瞳には、どこかさっぱりしたような色が浮かんでいた―――・・・
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カカシさん、改心。
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