「さっきはゴメンナサイ、気絶してたからつい襲いかかっちゃって」
「別に。俺だってそうするだろうし。
 ―――とりあえず、落ち着いたところで筋道立てて話してくれ」
「・・・・・・・・・了解」

現在二人は広い居間で向かい合って座っていた。
きちんと座布団の上に正座をし、玉露や茶菓子まで振舞われている。

「あ〜あと聞いておきたいんだが、アンタは俺を殺しに来たワケじゃないんだな?
 殺気はおろか敵意すら全く感じられないし・・・・・・その変な名前はこの辺の人間じゃねーだろ」
「ま、この辺って言われてもいったいここがどこなのかすら私は知らないけれど。
 もちろんアナタを暗殺しにきたワケじゃないわ。理由もないしね。
 それにしても殺しに来た・・・って、アナタいつも狙われてるの?
 大体こんな可愛い男の子に組み伏せられたの初めてよ。アナタ何者?」

もっともな質問だろう。
誰もナルトのような少年が高い戦闘能力を有しているなどとは思わないし、
ナルト自身それをひた隠しにしているのだから。
だがそれを言うなら、目の前の女の強さにも誰も気づかないだろう。
はっきり言ってナルトは驚いていた。
自分を上回る体術を駆使する、この美しいカオルという女に。

「・・・・・・・・・それはまぁいい。
 そんなことよりもアンタさっき「時空移動」とかなんとかほざいたな」
「ええ。私の・・・恋人?が科学者でね。
 その人がコンピュータとの悪戦苦闘のすえに作り出したのが時空移動装置。
 その装置を私が勝手に使ってこの世界へ来たの。
 まさか本当に移動できるとは夢にも思っていなかったんだけど」
「・・・・・・・・・ありえねぇ」
「私もそう思うわ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

カオルの飄々とした態度に言葉が詰まる。
もし彼女の言うことが真実ならば、一大事なのではないのか?

「―――で、これからどーすんだアンタ」
「さぁ」
「・・・・・・」
「・・・・・・泊めてくれる?」
「は!?」
「だって行くところなんてないし。
 警戒するのは当然だけれど・・・・・・アナタほどの力があれば、
 得体の知れない人間を泊めることくらいどうということは無いでしょう」
「いやどうということありまくりだし。アンタ強すぎだし」
「いいじゃない」
「無理。出てけ」
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」

両者一歩も譲らず。
というよりカオルの意見に無理があるだろう。
幼い頃から命を狙われてきたナルトは、こんな危険を冒すことは出来ない。

「―――わかった出て行くわ。でもその前に一つ聞いても?」
「何?」
「アナタのお腹に住んでる綺麗な狐、何?」
「っ!?」
《・・・・・・・・・やはり気づいておったか》

ゲホゴホと、茶を噴出し某特別上忍よりも酷い咳をする。
と、いつの間にかカオルがナルトの後ろへ回り込んで背中を叩いてくれていた。

「んなっ・・・なんでわかんだよ!?」
「いや・・・アナタの周りになんていうか・・・オーラ?みたいなのが見えて。
 それが2種類あるから、失礼だけど覗かせてもらったのよ。
 そしたら―――封印されてるのかな?―――綺麗な狐が見えたから」
「・・・・・・・・・ありえねぇ」
「二度目ね。ホメ言葉として受け取るわ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

しばらく半眼でカオルを睨みつける。結構な殺気を込めて。
だが彼女は全く気にした様子は無く、はっきり言ってムカツク。何この女。

「―――わかった。出て来い、“煉”」
《・・・・・・了解》
「へぇ・・・レンって言うの?いい名前ね」
「・・・・・・・・・」

スッと、辺りの空気が一変する。
冒し難いような―――触れてはならないような神々しい雰囲気。
するとナルトの横にカオル曰く“オーラ”(正確にはチャクラだが)が集中し、
それが形となって長い銀髪の世にも美しい青年の姿に変わった。
ナルトの力を借りて具現化された、実体ではないがそれに限りなく近いものだ。

「・・・・・・! すごい・・・綺麗・・・」
「それはどうも、娘」
「・・・・・・つーかさぁ煉。「やはり気づいておったか」ってどーゆーこと?」
「この娘から何やら妙な力が感じられてな。この世界のチャクラとは質が違う・・・が、
 見透かされているような、それでいて気分は悪くない感覚がしたのだよ。気づかなかったか?」
「全然」
「まだまだね〜キミも」
「・・・・・・・・・」

「あ、ところでキミ。名前なんていうの?聞いてなかったわね」
「別に聞かんでいい」
「いいじゃないか、教えてやれ」
「・・・・・・気に入ったのか、この女が?」
「ああ。敵意はないし、何より美しい」
「・・・・・・こんの美しいもの好きの変態オヤジが・・・・・・」
「聞こえぬなぁ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・」

ハァ、と溜息ひとつ。
煉が気に入る人間は滅多にいない。(しかもこんなにすぐに)
だからとりあえずカオルは信用してもいい人間なのだろう。

「あぁもう・・・・・・わーかったよ。俺の名前はうずまきナルト。
 アンタは・・・カオル=クルビュートって言ってたけど、クルビュートって名前なのか?」
「いえ、カオルよ。そっか、この世界では名字が先なのね」
「この世界では・・・って・・・・・・」

頭痛がする。
話をすればするほどに、異世界という存在を認めざるを得なくなっていく。

「もしお前が本当に異世界から来たのだとして、何故言葉が通じる?」
「あぁ、それは魔術を使って翻訳しているから」
「―――魔術?忍術じゃないのか?」
「この世界には無いのね・・・あちらでは結構一般的なんだけれど。
 むしろ私からすれば忍術って何?って感じだし・・・まぁいいわ、とりあえず見てみる?」





広大な庭へ出て、カオルから数メートル離れる。
これくらいの距離をとれば何が有っても対処できるだろう。
もっとも、これから魔術なるものを行おうとしている本人は庭の広さに驚いているが。

「すごい・・・こんな家にたった一人・・・いえ二人?ますますアナタ何者?」
「そんなことはいいからやってみろよ」
「はいはい・・・何をしてほしい? 岩を破壊してみる? 地面に亀裂をいれてみる?
 それともこの家をまるごと浮かせてみせましょうか??」
「・・・・・・・・・もっと平和的に頼む」

とんでもないことをつらつらと述べていくカオル。
魔術とやらはそんなことまでも可能にしてしまうのだろうか。

「じゃぁとりあえず、空中浮遊してみせるわね」
「・・・・・・・・・」

と、先ほどの小競り合いでも耳にしたような言葉が響く。
チャクラとは全く違う力がカオルに集中していくのが感じられた。
本人が呪文だという言葉は案外短く、すぐにカオルの体に変化がおき始めた。

「・・・・・・っ!!」
「ほぉ・・・これは驚いたな」
「どう?信じてくれた?」

地面から1メートルほどの空間で足を組み、座る真似をするカオル。
無論チャクラが使われた気配は全くないし、大体空中浮遊なる術は聞いたことが無い。
しばらく唖然としていると、今度は呪文も無くカオルは掌に光を具現化した。
拳程度の光は段々数を増やし、色とりどりのそれらは彼女の周りを回り始める。
こんな状況でなければ息をのむような美しさだ。

「―――も、もう、いい」
「そう?」

これ以上見ていたら魅了されそうだった。
擦れた声でカオルに止めるよう言うと、思わずこんな言葉を口にする。

「とりあえず・・・こんなもん見せられちゃな、信じてやる。
 い・・・行くところがないんだろ?泊まっていけよ」
「本当!?助かるわv」

カオルから花が綻んだような笑顔を向けられガラにもなく頬を染める。
調子が狂いっぱなしだ。いつものクールなナルトはどこへ行ってしまったのやら。
その様子を煉が面白がるように見ていたが、一切無視。

「・・・ま、明日この里―――木の葉隠れの里と言うんだが―――の責任者の所へ行こう。
 それでどうするか決まるまでここにおいてやるよ。
 この里のことが知りたければ、本ならウチに腐るほどあるから読めばいい」
「ええ、ありがとうナルト君v」
「・・・・・・別に」

心の中が満たされていくように感じたのは、気のせいだと思いたい。
とにかく暇はしなくなりそうだ・・・・・・この女、カオル=クルビュートのおかげで。
とにもかくにも、あわただしい日々が始まった。


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やっと書き終ったその名も「説明文小説」。(爆死)
いやだっていろいろ説明しておきたかったんですよハイ。
無駄に面倒な設定使ってしまったんで;;
これでもまだ半分もアチラの世界のことを話せてないです。
カオルがこちらへ来てしまったワケはわかりましたが。
結局金属の武器の正体はわからずじまい。(笑)
この背景はカオルが魔術を使ったときの幻想的なイメージ。
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