「マジかよ」
「マジよ」
「どうやって」
「魔術で」
「反則だろ」
「何が」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

漫才のように実にテンポ良く進む会話。
淡々としたカオルの物言いに、ナルトはひたすら頭が痛かった。

「いったいこの部屋に何冊の本があると思ってんだ・・・?」
「計1205冊」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ありえん」

それと言うのも、またしてもこの厄介な昨日からの居候・カオルがありえないことをしでかしたから。
この部屋―――ナルトの書斎には膨大な量の本が所狭しと並んでいる。
そりゃぁもう、『木の葉の歴史書』から『3歳レベルの言語の習得方・導入編』、
『毒草の使用方法・生成方法』『殺人術の応用』『人類は何処から来て何処へ行くのか』etc...etc...

・・・・・・と、実にバリエーション豊富なモノがそろっている。
歴史書はよし、言語の習得云々もまぁよし、だが毒草・殺人術となってくるとちょっとキツイ。
それにしてもどこかで聞いたことのあるような哲学書は、ナルトのキャラからすればかなりキツイ。
さすがに忍術書・禁術書は違う部屋へ隠してあったのだが。

―――話がそれた。
とにかく、この部屋には膨大な量の本が―――カオル曰く1205冊もあるのだ。
それをこの女は・・・・・・

「一晩で全て読み終えてしまった、と」
「ええ。周囲の情報を集めて知識に変換する魔術があるから」
「・・・・・・それでもその膨大な知識を一晩で消化するのって無理じゃねぇ?」
「そうなの?」
「・・・・・・・・・もういい」

書斎から動こうとしないカオルの気配を感じつつ眠りにつき、
朝起きて様子を伺いに行ってみれば、妙に達成感のある顔をした彼女がいた。
理由を聞いてみればそういうことで・・・・・・・・・

(滅茶苦茶だこの女・・・・・・本当に人間か・・・・・・?)





「それにしても面白いところよね、この里って」
「どこが?」
「どこがって・・・まず忍術というものは非常に興味深いし、
 下忍・中忍・上忍・火影という制度があるのもおもしろいわね。
 アチラの世界じゃ統治者は全国民の投票によって選ばれるから。
 何より一番興味深かったのは・・・・・・アナタのその強さの理由、かな?」
「・・・・・・へぇ」

“本宅”を出て火影邸へ向かう途中。
ナルトにとっては庭同然でもある禁忌の森の中。
二人でゆっくりと歩を進めていたが、意味深なカオルの言葉に立ち止まる。

「わかっちゃった? アンタ頭良いね」
「ま、歴史書にある九尾の事件から考えていけばすぐに、ね。
 小さいころから生きるか死ぬかの人生送ってきたんでしょう?
 なら強くなるのも当たり前・・・・・・ついでに言うなら、そのスレた性格も」
「・・・失礼な奴」
「可愛い子をいじめたくなるのは人間の性でしょう」
「・・・・・・・・・」


+  +  +  +


「―――と、いうワケだじっちゃん」
「・・・・・・・・・」

今カオルの目の前にいるのは火影本人である。
ナルトに連れられここまで来たが、警備の厳重さやトラップの数々に驚くばかりだった。
それをいともたやすく潜り抜けてこの最上階まで来たナルトも驚異的だが。

「どうせ水晶で全部見てたんだろ? ん?」
「・・・・・・・・・」
「ナルト君・・・ご老体にその殺気は良くないわ」
「案ずるな。コイツはひ弱そうに見えて里一番の狸ジジイだ。騙されるなよ」
「それはちと酷くないかナルトよ・・・?」
「事実だろ」

と、腕を組んで足を崩すナルトがなんとも色っぽくて襲いたく・・・ゲフン。
カオルは内心、「いっそ襲ってしまおうか」という衝動に何度も駆られていたのだが、
それは顔に出さずに真面目な態度を崩すことは無い。

「まぁ・・・お主と煉が言うのならカオル殿に敵意があるわけではないのだろう。
 だが・・・・・・時空移動とはにわかには信じがたいのぅ・・・・・・」
「ったりめーだ。俺だってまだ半信半疑だしな」
「酷いわね。昨日は信じてくれるって言ってたのに」
「俺はまずおまえの人格を疑いたいけどな」
「・・・・・・」

と、ちらりと上目遣いで睨んでくる。
それが何とも・・・・・・

(可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い欲しい欲しい欲しい欲しい泣かせたい泣かせた・・・・・・)

これ以上は放送禁止用語になってくるので表記しない。
あくまで顔に出すことはせず、内心で悶絶しているカオル。
妖しいことこの上ないが、誰もそんなことに気づかないので良しとする。

「とりあえず・・・カオル殿、貴女のことは信用しよう。
 ナルトの本性を知る貴重な存在だしのぉ・・・・・・何より美しい」
「・・・ジジィもそれかよ」
「本性? やはりナルト君は強さを隠してるんですか?」
「うむ。ナルトが力を持っているとなるといろいろと厄介での。
 その・・・なんだ。里は九尾の事件を忘れることが出来んのじゃよ」
「・・・・・・」

目の前の老人の顔が翳る。
先ほどまでの飄々とした雰囲気は違い、歳相応のそれ。
保護者だという彼がどれほどナルトのことを愛しているのかが伺える。

「そいうわけじゃ。ナルト、お前の家に置いてやれ」
「は!?マジかよ!?」
「駄目か?」
「・・・・・・わかったよ。帰るぞ、カオル!」
「え、ええ・・・・・・」

重力など感じさせない動きで窓から出て行くナルト。
カオルもそれに倣おうとするが・・・・・・

「カオル殿。ナルトは貴女のことを信用しておるようじゃ。あやつを頼む」
「・・・・・・よろしいのですか?」
「何がじゃ?」
「私は彼の命を狙う暗殺者かもしれない。木の葉を狙い彼に近づく者かもしれない。
 彼も煉も貴方も、あまりに簡単に信用しすぎではありませんか?」
「・・・歳をとると誰が信用でき誰を疑うべきかがわかってくるものじゃよ。
 歳若い貴女には・・・・・・理解できぬ話やもしれんがのぅ」

何故かカオルは少し戸惑い、火影である人物を凝視する。
が、すぐに妖艶な笑みを浮かべ―――

「―――わかりますよ」
「ほぉ?」
「何故なら私は・・・・・・」


+  +  +  +


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ありえん」

二人が去った窓からみえる景色を呆然と眺め、一言。
今のでシワが2・3本増えたかもしれない。


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またしても長くなっちまった・・・・・・。
書きたい話はこんなんじゃないのに、まず基礎を作らないと!!
文章力があればもっと短くまとめられるはずなのに!!
それにしても三代目はカオル姉さんから何を聞いたのか!?
つーか危険だよアンタ!!!
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