「・・・ったく、何だってのさあの女」
「いい人だったじゃねぇか」
「そうよ。教え方もとっても上手だったし」

不機嫌なカカシに無理やり連れられ、アスマと紅が来たのは居酒屋・「美味処」。
早くも逃げ出したい思いに駆られまくっていた。

「それは認めるよ!悔しいケド!!
 でもあの女、あろうことかナルトに抱きつかれたんだよ!?
 ナルトは金髪の一筋から毛穴の一個一個まで俺のモノなのに!!」
「アホか」
「言い方が変態臭いのよアンタ」

何気に酷い二人の言い分にひるむことも無く。

「しかも俺の邪魔ばっかしてくるし・・・つーか只者じゃないよアレは!!」
「ま、それは認める。隙も何も全く無かったしな」
「カカシでも勝てるかどうか怪しいんじゃない?」
「それでもナルトは俺のモノなんだよ・・・・・・。
 俺のモノにしておいて一気に突き放してやるんだから」
「・・・・・・カカシ」
「・・・・・・」

はたけカカシがナルトにまとわりつく理由はそれだった。
ナルトを心底自分に惚れさせておいて、タイミングを見て捨てる。
あのバカ正直で愛に飢えた子供にはこれほど効果のある“罰”はないだろう。
そう、これは“罰”なのだ。
自分の大切な師を奪ったあの九尾のガキに対する正当な“罰”。

(それでもまだ足りない・・・アイツには生きたまま地獄を見せてやらないと、ね?)

「カカシ、いつまでも過去に縋りつくのは止めろよ・・・」
「そうよカカシ。あの子に罪は無いでしょう」
「ハッ! 二人ともホントにそう思ってるワケ??
 アイツは存在自体が罪なんだよ・・・あの人を差し置いて生き延びたアイツは」

あの九尾の事件を知っているだけに、アスマも紅も強くは反論できない。
カカシはそれを知っていて、あえてこのような言い方をするのだ。

「あの女はナルトを俺から守ろうとしてるんだよ・・・・・・邪魔だな、アイツ」
「カカシ・・・・・・?」
「カカシ、アンタまさか・・・・・・」

存在自体が罪なら、存在を消してしまえばいい。
存在を物理的に消すことができぬのなら、自我を奪ってしまえばいい。

「まずはあの女をナルトから引き離さないとね・・・・・・二人とも、手伝ってくれるよねぇ?」

にっこりと二人に微笑む。目は全く笑っていないが。

「―――勝手にしろ。俺はナルトを恨んじゃいねぇ」
「私もよ。・・・・・・カカシ、アンタのあの子に対する執着は異常よ?
 本当にあの子のことを恨んでいるの?」
「・・・・・・」

カカシの笑みが濃くなる。
いつの間にか、周りの客は席を移していた。黒髪の一人を除いて。

「もちろん、愛してるよ? 殺したいとは思わない。
 ―――俺はただ、あのガキをとことん壊してやりたいんだヨ」

気づいていないわけじゃなかった。
自分はあの子供を愛しているという事実に。
認めていないわけじゃなかった。

ならば、両方の思いを貫き通してやればいい。
あの子供の幼い精神が耐えられないくらい、愛して、憎んで、壊して―――・・・・・・

「ま、協力してくれないのなら一人でやるヨ。・・・・・・じゃ、俺帰るから」
「・・・・・・」
「・・・・・・」

(ナルトは誰にも渡さない―――あの女にも、死神にもね)


誰にも殺させない。死ぬことは赦さない。


+  +  +  +


「―――アスマ。どうする?」
「どうするったって・・・・・・」

実際、どうすることもできなかった。
うずまきナルトへの愛と憎悪に囚われたカカシを止めるのは不可能だ。

「カオルさんが頑張ってくれるといいんだけど・・・・・・」
「ああ、俺達もできる限り協力しよう」

それでもやれることはやらねばならない。
愛を知らない可愛い金色の子供と、腐れ縁のあの上忍のためにも。

まずできることは警告。
カカシが取り入ろうとしている、あの美しき血色の女性に。


+  +  +  +


「なるほど・・・そういうこと」

いったい誰が気づけたというのだろう。
変化して全ての話を聞いていた金色の存在に。

《どうするナルト? カオルに忠告してやるか?》
(いや・・・どうせアイツは気づいてるだろ。知らなければそれはそれで面白い)
《鬼だな》
(ほっとけ)

くつくつと、喉の奥を鳴らして笑う。
また面白いことになりそうだ。

(ゲームスタート、だな)


堕ちるのは誰だ?


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カカシさん、何やら危なげです。(笑)
でもナルトに勝つには10年早い。
そしてカオルに勝つには100年早い。(爆)
そしてようやく本格的にpositionシリーズ始動!
ラストはきっとハッピーなんでしょうけどね。
背景は手錠=所有の証ってことでv(そういうことは裏で言え)
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