「ああ・・・いったいどうすればカオルは帰ってこられるんだ!?」

いつもの薄暗いラボの中、これ以上無いと言うほどに不幸そうな声が響く。

「っていうかちゃんと生きてるんだろうなカオル!!」

声の主、ジェイク=リーガスは嘆いたり怒ったりと大忙しだ。
それもそのはず、彼の恋人・カオルが姿を消してからすでに10日も経っている。
とりあえず彼女が異世界へ行ってしまったことは認めたらしい。

「いや、生きてるはずなんだ・・・僕が未だ若さを保ったままということは」

ジェイクはカオルの魔術によって延命されている。
外見も二十歳のままだ・・・・・・すなわち、カオルが生きているということ。
異世界へ行ってもなお作用する、カオルの膨大な魔力はさすがと言ったところか。

(だが早く帰ってこないと自由になれないぞ・・・・・・魔術による延命にも限界はある)

カオルはジェイクが所属する組織に造られた生体殺人兵器の『失敗作』だ。
成功作と違い、能力はずば抜けて高いが『感情』という致命的な欠陥を持っている。
廃棄させられそうなところを、ジェイクが拾って育て上げた。

(それとも・・・・・・アチラにいた方が自由か?)

カオルとジェイクの実年齢は・・・・・・○○○歳である。(三桁行ってます)
長生きは良いことだが、長すぎるのにも問題がある。
だが、わざわざ自然の摂理に逆らってまでやらねばならないことが彼女にはあった。

(残りの暗殺依頼82件・・・あと少しなんだ・・・・・・)

決して『少し』ではないはずだけれど。
カオルは千の依頼をこなさなければ自由にはなれない。
もうすでに、918件終了させた。それだけ殺した。
期限はない。ただ千件済ませればいい。
そうすれば心臓に絡みついた爆破装置は撤去してもらえる。

(カオル・・・・・・キミは今幸せなのか?)


+  +  +  +


「カオルさ〜んv 一緒に食事行きませんか〜??」
「申し訳ありませんが私これから火影様の所へ行きますので」
「じゃぁその後で・・・」
「謹んで遠慮させて頂きますv」
「・・・・・・・・・」

最近、身の回りが騒がしくなった。
はたけカカシが始終まとわりついてくるのだ。
カオルはこの男は嫌いではなかった。
こちらの世界での暮らしに程よい刺激を与えてくれる。
何より、自分を口説こうと必死になっている姿を見るのは面白い。

「ちょっとナルト、カカシ先生いったいどうしちゃったの!?」
「え!? し、知らないってばよ・・・」
「・・・・・・」

今日もナルトに頼み込まれ、(自分がいるとカカシが寄り付かないかららしい)
7班の下忍たちの修行に付き合っている。
サスケは顔に出さないが、カカシの興味がカオルに向いたことで喜んでいるのは明らかだ。
と、ナルトが唇の動きのみで、

『おい・・・大丈夫か? カカシの奴・・・』
『わかってるわよ。私に取りいろうなんて100年早いわ』
『なんだ、やっぱ知ってたのか』

カカシの企みには気づいていた。
自分をナルトから引き離すつもりでいるのだろう。
何より、アスマと紅がわざわざ警告してくれたのだから。

『で、どうするつもりだ?』
『そうね・・・やっぱり、ノリツッコミも楽しいかな』
『はぁ??』

ワケがわからないとナルトが反応するが、今は無視。
隅でイジけているカカシに向かって極上の笑顔を浮かべた。

「カカシさん、気が変わりました! お誘いありがたくお受けしますv」
「―――ほ、本当ですか!? いや〜、ありがとうございます!!」
「いえ、貴方のような方とご一緒できるなんて光栄ですわ」

にっこりv
少し香りを解放することは忘れない。
カカシの顔色が少し変わったのが伺えた。

(さて・・・ナルト君に手を出そうとする不逞の輩には制裁を、ね)

カオルの心境を感じ取ったのはもちろんナルトのみ。


+  +  +  +


「ん・・・・・・」

カーテンの隙間から漏れる朝日が眩しい。
隣にいる男を見やれば、忍らしからぬ状態―――即ち熟睡中。
無理もない。
カオルの“香り”は全てを虜にしてしまう。
昨夜は全開にしていたから、さすがのカカシも疲れ果ててしまったらしい。

「・・・・・・」

手管は悪くなかった。むしろ上手い。
だがそのテクニックだけでは隠し切れないモノがある。
“香り”に溺れていきつつも、決して消えることの無いギラついた感情。

(それだけ憎んで・・・愛しているのね、ナルト君のことを)

こうしてカカシと関係を結んでしまったわけだが、どう出るべきか。
すでに彼はカオルをモノにしたと思い込んでしまっている。

彼の計画を崩すのは簡単。
彼の思惑を壊すのは簡単。
では、一番楽しめるのは?

―――しばらくは踊らされているフリをしよう。
ナルトとはあまり表で関わらないようにした方がいい。
そしてカカシが狐と女狐に化かされていたと気づいたとき、
彼はいったいどんな顔をするのだろう?

思わず笑いが込み上げてくる。
罪悪感など全く無い。
ただ純粋に面白いと思ったから。

あるのは一つだけ。

(ジェイク・・・私が浮気したって知ったら怒るかしら)

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前にカオルが火影に言ったのは年齢のことです。(笑)
それにしてもカオル・・・天然悪女だなぁ。
つーかカカシさんはカオルとやっちまったのか!!!(死)
遊ばれているとも気づかずに・・・・・・憐れな。
あとカオルの正体がちょっとずつわかってきましたね。
何て無理のある設定なんだろう・・・生体殺人兵器・・・( ̄▽ ̄;)
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