今カオルの眼前には、二人の男がいる。
うち一人とナルトの関係は三代目と煉から聞いていた。
無論里を抜けた原因や、男がナルトの監視者だったということも。
自分にはぜひ知っていてほしいと、あちらから話してきたのだ。
(うん・・・容姿はOK)
ナルトが執着したのは、今までこの男一人だという。
あの淡白な子供が執着した人間―――純粋に興味があった。
何やら見知らぬ気配がしてこの里の傍の森へ様子を見に来たのだが、
一人がそのうちはイタチだと気付いた時には小躍りしそうになったものだ。
(本命・・・見つけた!)
“禁忌の子供”と“一族殺しの抜け忍”―――これほど禁断度が高く、
オイシイCPが・・・・・・げふごほがふん、組み合わせがあろうか?
嬉々として、少しずつ気配を露にしていく。
今のままではこの二人が気付くことは不可能だからだ。
「・・・・・・・・・誰かいる」
「え? 気配なんてしませんが・・・」
「さすがね・・・うちはイタチ君?」
「「!!」」
気配は感じていても、何処にいるのかはわからなかったらしい。
突然背後に現れた自分に驚いているのがわかった。
振り向くことなく、イタチと鬼鮫は問うた。
「・・・ここまで気付かずに近づかれたのは初めてだ」
「誰です貴女は? 返答によっては・・・・・・」
「私を殺す、干柿鬼鮫? 貴方達にそれができるかしら??」
「「・・・・・・」」
ゆっくりと、二人はこちらを向いた。
+ + + +
女は突然背後に現れた。
気配は感じていたが、場所を特定することが出来なかったのだ。
(―――強い)
今までに体感したことがないような感情・・・恐怖。
ほんの一瞬、それが浮かび上がって消えた。
たとえどれほど強かろうが、あの子に会うためなら生き残ってみせる。
それに殺気はおろか敵意すら全く感じられない。
名を知っているからには、自分が木の葉の抜け忍だと知っているはずなのだが。
もう一度罠が無いかどうか確認し、ゆっくりと、鬼鮫と共に振り返った。
「・・・・・・!」
「ほぉ・・・・・・」
息をのむ。その美しさに。
血色の長髪。月を照明に、闇夜に浮かび上がる。
金色の双眸。どこかあの子を彷彿とさせる。
「本当にそっくりね・・・うちはサスケ君に。 聞いたとおりだわ」
「・・・・・・お前はいったい?」
「ああ、自己紹介がまだだったわね。 私はカオル。ナルト君のことで少し・・・ね」
「!」
「ナルト・・・とは、うずまきナルトのことですか? イタチさん、この人は・・・」
「黙っていろ鬼鮫!」
「・・・・・・」
いったいこの女はナルトとどういう関係なのだろうか。
とりあえず話を聞く価値はありそうだ。
「あの子とどういう関係だ」
「同居人」
「!?」
「まぁ、現在の保護者のようなものね。少なくとも恋人ではないからv」
「・・・・・・」
あからさまにほっとしてしまう自分に心の中で苦笑する。
こんな、初めて会った人間の言葉に信憑性など欠片も無いのに。
(それにしても、この言い回し―――俺とナルトの関係を知っているのか?)
「それで・・・同居人が、何をしに俺の元へ現れた?」
女は妖艶に笑う。
少し良い匂いがするのは気のせいだろうか。
「・・・・・・忠告よ」
「忠告?」
「そう。イタチ君、悪いことは言わないから今は引き返しなさい」
「『今は』? 何故だ」
「理由は言えない。とにかく『今は』駄目よ。ナルト君と再会したいのなら」
「信じられると思うか?」
今日はナルトを攫うためにここまで来たのだ。
今更引き返すことはできない。
女は「それも当然か」と呟き、溜息をついている。
「・・・・・・私はナルト君に幸せになってもらいたいの」
「それで?」
「ナルト君の相手に一番相応しいのは貴方だから」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・それはどうも」
今の言葉で女に対する高感度が大幅UP。
若干緊張が緩んだ。
「何故『今は』駄目なんだ? 俺は一刻も早くあの里から彼を連れ出したい」
「そうでしょうね・・・・・・でも駄目なのよ。信じてくれないのなら、力ずくでも追い返すわ」
「・・・・・・・・・」
「―――イタチさん、とりあえず出直しましょう。私達では勝てません」
「・・・・・・・・・だが!」
引き返したくない。早く会いたい。
こんな所で留まっているわけにはいかない―――・・・
「イタチ君、これを持っていて」
「?」
そう言って投げられたのは、小さな青い石が3つついた指輪。
罠が無いかどうかチャクラで確かめるのを忘れない。
「なんだこれは?」
「それがあれば私はいつでも貴方に話し掛けることができる。
・・・・・・時期がきたら、必ずそれで知らせるから。
だからその時まで待ってほしいの・・・・・・そんなに時間はかからないわ」
「・・・・・・・・・」
信じてもいいものだろうか?
この女は嘘をついているようには見えないが。
「―――じゃぁ、私はもう行くわ。・・・・・・元気でね」
女が小さく何か呟くと、スッと、姿が掻き消えた。
印を結ばなかったから忍術ではない。
だがそんなことは気にならないほど、イタチは混乱していた。
「・・・・・・イタチさん? どうします?」
「・・・・・・・・・」
「イタチさん」
「―――引き返そう」
「・・・わかりました」
とりあえず、信じよう。
何故そう思ったのかは自分でもわからないけれど。
+ + + +
(さて・・・これでよし)
実を言えば、正当な“理由”など無かった。
ただ、今イタチが来てしまえば確実にナルトは着いていく。
それではつまらない。
(まずはカカシさんとくっついてもらわないと・・・・・)
そして頃合を見て、イタチに来て貰うのだ。
カカシという魔の手からナルトを救う、王子様の役として。
(我ながら完璧なプランね・・・・・・あとは私がイタチ君に会ったことをナルト君に伝えれば・・・)
必ずあの子供は動揺し、隙ができるだろう。
その隙をカカシが見逃すはずがない。
まずすべきことは、自分がカカシと別れることだ。
BACK TOP NEXT
------------------------------------------------------------
・・・・・・悪女!! 何だこの人!!(汗)
皆思いっきりカオル姉さんの掌で踊らされちゃってるし;;
これからもこの人の計画通りに進みます。(断言)
・・・が、一筋縄ではいかないんだなぁ♪
------------------------------------------------------------